「short hope」に寄せて――宮下マキ
私はシャッターを押す。その細い手で一心不乱に物語を紡ぐ姿を、苦悩で歪んだ横顔を、希望など抱かない瞳を、ふっと緩ませた唇を。まるで骨まで残らず写し出すように。何度も何度も。 小説家嶽本野ばらを撮り続けて三年という月日が流れた。その間ずっと私は虚構の世界にいたような感覚だった。しかしこの世界こそが彼にとっての現実であり、そこで生きる姿は今にも消えてしまいそうに儚く、孤独で、そして見事なまでに美しかった。私は長い間カメラ越しに、この被写体の「生きざま」という名の小説を読んでいたような気がする。彼が在る限り綴られていくこの世で一つしかない小説を。
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