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鹿児島県霧島アートの森
での個展にあわせて発表となるこの絵本は、
妄想のファンタジーと、現実のドキュメントによる構成で
展覧会場でのインスタレーション作品の一部として機能します。
あとがきより
1997年6月、私は放射能防護服「アトム・スーツ」に身を包み人類史上最悪の原発事
故を起こしたチェルノブイリを訪れた。
大阪万博跡地で幼少を過ごした体験から「未来の廃墟への巡礼」をコンセプトに、
アートで社会問題を提示する。それがただ安っぽい正義感と浮ついた功名心にとらわ
れていた事に気づくのに左程の時間はかからなかった。
その地に足を踏み入れたとたんロマンチックな幻想は粉々に打ち砕かれる。
廃墟となった街の、朽ち果てた観覧車や映画館を見ているうちはまだ平気だった。動
揺が走ったのは高放射能濃度で居住を禁止されている区域の森に住む人々に出会って
しまった時である。住み慣れた村に戻って来た老人、母親と二人で住まざるを得な
い3歳の少年。防護服の私を歓迎する人なつこい森の住人達の笑顔とは裏腹に、ヘルメッ
トの中の私の顔は困惑に歪んでいた。
あれから10年。作品を作り発表を続けた行為は、あの日出会ってしまった人々への
答えを求めるあがきみたいなものである。表現の名の下に人間の魂を忘れかけていた
若き日の自分を更生させる格闘の旅でもある。その旅はいまもまだ終わらず、あの時
拾い上げた人形と壁に描かれた太陽とともに、まだしばらくは続けて行く事になるだ
ろう。
2007年 6月
ヤノベケンジ
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