野島康三写真集

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野島康三写真集
野島康三
4,200円+税 | 186mm × 258mm | 192項 | 上製本
アートディレクション:アイヴァン・ヴァルタニアン
Yasuzo Nojima
Photographs by Yasuzo Nojima
4,200JPY | 186mm × 258mm | 192 page | hardcover
Art Director : Ivan Vartanian

ISBN : 978-4-903545-43-1
Published in July 2009




About Book

"日本のスティーグリッツ"と評された写真家野島康三を知っていますか?

「60年代に野島の写真に出会って、相当惚れ込んだ。凝視する時間の濃さを通して、大地に根付いている像がある。おおもとのことをやっている魅力だよね」こう語るのは、荒木経惟である。20代の頃に野島の作品に魅せられた荒木は、野島と彼の父、長太郎の名にちなんで「野島短太郎」というペンネームを使っていたほどである。野島康三(1889-1964)は明治に生まれ、日本の写真黎明期である明治30年代に写真作品に取り組みはじめたパイオニアの一人である。昭和初期には、絵画的な様式から脱却し、自立した芸術表現としての写真をめざし、近代的な「新興写真」の発展に大きな影響をもたらした。いまや伝説となった記念碑的な写真雑誌『光画』を中山岩太や木村伊兵衛とともに創刊し(1932年)、印刷による複製芸術としての写真の可能性をいち早く着目したのも野島である。野島は一貫して写真術を芸術表現にまで高め、写真における「美」を見いだすために心血を注ぎ続ける。70年代に野島の回顧展が初めて催されたアメリカで、「日本のスティーグリッツを発見」と大きな反響を呼んだのは、それゆえである。「写真と芸術」、「近代から現代」、そして「西洋美術と日本美術」への橋渡しを築いた写真家こそ、野島康三、その人だったのだ。この作品集は、野島が生誕120年を迎え、没後45年を経て、初めて出版される作品集である。初期の作品である風景写真(1910年)から、ゴム印画による男性像(1920年代)、ブロムオイル印画による女性の肖像や当時としてはめずらしかったヌード表現(1931年頃)、そして銀塩プリントによる女性の肖像群(1933年)、スタジオで制作した内向的な作品(1940年前後)まで、野島の幅広い活動を物語る作品群を余すことなく収録している。また、現存しているヴィンテージプリントの約半数にあたる119点の作品を網羅し、ゴム印画やブロムオイル印画といったこれまでは印刷再現が難しかった古典的な印画技法の色、トーン、そして質感にいたるまで、高度な印刷技術のおかげで忠実な再現が可能となった。また、野島研究の第一人者である渋谷区立松濤美術館の光田由里氏による書き下ろしの作家論を収録した、まさに珠玉の1冊である。 


This is the first monograph dedicated to the work of Yasuzo Nojima, one of the most important figures of early Japanese photography. The present volume includes faithful reproductions of Nojima's gum, bromoil and gelatin silver prints, spanning 1910 to 1949. Through the 1920s, Nojima worked in the prevailing pictorial style, but starting from the 1930s his work took a more experimental turn. Nojima also co-founded the magazine "Koga," which had a profound influence on the course of photography in Japan. This is an essential book for anyone with an interest in the history of Japanese photography.

Book Previews

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Artist Information

野島康三

日本の戦前期を代表する写真家のひとり。美術に対する積極的なディレッタント(英,伊:dilettante、好事家、学者や専門家よりも気楽に素人として興味を持つ者)としても有名。初期のピクトリアリスムの重厚な絵画的な作品から、のちにストレートな表現に移行した。特に、ポートレイトやヌード写真に長ける。 東京写真研究会で活躍。野々宮写真館開設、1932年に中山岩太、木村伊兵衛とともに雑誌『光画』創刊、1939年には国画会に福原信三とともに写真部創設などの活動を行う。
ディレッタントとしては、1919年に東京神田神保町に「兜屋画廊」を開廊し、各種展覧会(旧フュウザン会、日本創作版画協会の作家など)を開催(同画廊閉廊後は、自邸にて)するとともに、少なからぬ美術家に資金的な援助も行った。 ポートレイトにしろヌード写真にしろ、日本において、ストレートな画風で、系統的に女性の写真作品を残した最初の作家とあって、戦後の多くの写真家に強い影響を与えている。


NOJIMA Yasuz? (Hiromasa, 1889-1964) is one of the most important figures in the history of modern Japanese photography, his work ranging from kaiga shugi shashin (pictorial photography) to shink? shashin (new/straight photography) of the early twentieth century. Nojima's earliest works are characterized by a density and heaviness echoing that of pictorialism, based in his subtle sensitivity and the pigment printing process, the mainstream printing method of that time.  In the 1930s, his style takes a drastic turn under the influence of new trends in German photography, shifting toward daringly cropped gelatin silver prints in pursuit of a form of expression that is unique to the medium.  The photography magazine K?ga (Light Pictures; 1932-33), which he co-founded with fellow photographers NAKAYAMA Iwata (1895-1949) and KIMURA Ihei (1901-1974), was principally funded by Nojima and played an extremely important role in the subsequent development of shink? shashin by introducing important theories of photography from abroad and providing a much-needed outlet for a younger generation of photographers.