インベカヲリ★『理想の猫じゃない』

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 インベカヲリ★『理想の猫じゃない
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  Book Design:寄藤文平 + 鈴木千佳子
  
  発行:赤々舎

  Size: H260 mm × W210 mm
  Page:154 pages
  Binding:Softcover

  Published in November 2018 
  ISBN
978-4-86541-088-4


¥ 3,200+tax 

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About Book


インベカヲリ★と62人の女性によるポートレートとことば。


大きな話題を集めた前作『やっぱ月帰るわ、私。』から4年、インベカヲリ★はHPに応募してくる女性たちとポートレートの撮影を続けた。
人と人、人と社会の関わりのなかで生じる揺れや問いや矛盾を抱いて、女性たちはインベの前に現れる。
たとえマイナス面であってもそれを表現したいと願うそれぞれの女性の姿が、話し合いを重ねて生み出されたイメージとなり、写真の中に、そして言葉の中に立ち現れる。
それは、被写体と写真家という位置付けを超えた創造であり、ドキュメントと虚構を新たな方法で重ね合わせるものだ。怒りや哀しみや問いがバネになって生まれるユーモアや大胆さ、矜持。
今回は初めて女性たちの話し言葉によるテキストも収載した。写真、作品タイトル、テキストが織り成す、フィクションとノンフィクションのせめぎあい。時代に刻まれた鮮やかな肖像。 



「日々、情報を浴びる生活の中で、自分が本当に考えていることを探し出すのは至難のわざだ。うっかりすると、どこかで聞いたことがある台詞を自分で考えたことのように話してしまう。逆に、簡単には言葉にできないほどの感情は、凄まじいリアリティをもって心に響く。それは、私が女性たちから話を聞いていて感じることだ。向かい合って対話を続けているうち、独特な表現や価値観がふいに飛び出し、個 人の存在が生々しく浮かび上がってくる瞬間というのがある。一人ひとりは、こんなにも多様なのかと感動する瞬間がある。だから人間は面白く、写真の中で存在感を放つのだと思う。」(あとがきより)




インベカヲリ★の写真を初めて見たときは、2、3日写真の世界に取り憑かれた。そこには他人から見たら闇と痛みと孤独と汚物かもしれないけど、いろんなフィルターを外すと本当に純粋な『生と性』が写ってた。それからアルバムのジャケ写やアーティスト写真を撮ってもらうようになった。写真からインスパイアされたこともあった。いわゆる芸術写真やアートとは、やっぱり何かが違う。カメラでなければ、インベカヲリ★でなければ写せない何かを撮っているんだと思った。
毎回個展に行くたび、写真に取り憑かれるのが怖かったけど、ここ数年で少し写るものが変わってきた気がする。色で言ったら漆黒一色だったのが、色々な種類の黒色になった感じかな。それはこの写真集を見ていけば、なんとなくわかってもらえるんじゃないかと思う。

─  スガシカオ(シンガーソングライター)帯文より



<第43回 伊奈信男賞 受賞!>


インベさんの被写体はほとんど笑わない。日頃わたしたちが目にするあらゆる種類の写真のなかで、女性たちはたいてい静かに微笑んだり、元気に笑っているにもかかわらず。そうでなければ、彼女たちは少し開いた口元でこちらをじっと見つめたり、意思の強そうな視線を投げかけたりする(ように指示されている)。女性たちは、自分がいつも「誰かに見られている」ことを知っているかのようだ。


インベさんの写真にうつる女性は、鏡の中の自分を見ているか、部屋でひとり、誰にも気兼ねなく自分に集中している人がしそうな表情でそこにいる。もし、インベさんの写真があなたに違和感を感じさせるとすれば、それは被写体の女性たちがにこやかにあなたを見つめ返したり、あなたが見ているとわかったうえで自分を演出していないからかもしれない。


「理想の猫じゃない」展は、被写体とインベさんが話し合いを重ねて生み出したイメージで構成されていた。被写体の多くは自分が置かれている、どちらかといえば不思議な状況を驚くでもなく喜ぶでもなく、ただ、フレームの中でやるべきことを淡々と遂行している。写真の世界では長らく、クリエイティビティという意味において被写体は写真家の下位に位置づけられてきた。いっぽうで、写真という表現媒体も単なる「記録」とみなされて、アートの下位に位置づけられることがある。インベさんの作品はそのようなヒエラルキーの構造を撹乱し、創造する者とその対象、パフォーマンスする側と記録者のような二極対立的な役割分担では語れない、新しい写真行為の可能性を示唆するもののようにみえる。


────  長島有里枝「第43回伊奈信男賞 授賞理由」ニコンイメージングサイトより





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Artist Information


インベカヲリ★

1980年、東京都生まれ。写真家。一般人女性の人生を聞き取り、その心象風景を写真で表現するポートレート作品を撮影。写真集に『やっぱ月帰るわ、私。』、
写真と言葉から成る『理想の猫じゃない』、『ふあふあの隙間』(ともに赤々舎 刊)。共著に『ノーモア立川明日香』(三空出版)、忌部カヲリ名義のルポ『のらねこ風俗嬢-なぜ彼女は旅して全国の風俗店で働くのか?-』(新潮社電子書籍)などがある。

国内外での個展、グループ展多数。主な個展に、「たしか雨が降っていたから、」(GALLERY KTO 東京 2022)、
「理想の猫じゃない」(中野ガード下ギャラリー 東京 2019、富士フォトサロン 東京 2019、神保町画廊 東京 2019、America-Bashi Gallery 恵比寿 2019、ニコンプラザ THE GALLERY 新宿 大阪  2018-2019 などで開催)、
「ふあふあの隙間」(ニコンプラザ THE GALLERY 新宿 大阪 2018-2019 などで開催)、
「車輪がはけるとき」(神保町画廊 東京 2017)、「境界侵犯」(AMERICA-BASHI GALLERY 恵比寿  2016)、「誰かのためでなく」(神保町画廊 東京 2015)、「BRUGGE FOTO 2014-KAWORI INBE STEPHANIE VAN DE VELDE TOKYO REVERSE」(SCHIPPERSKAPEL Belgium 2014)、「始まりに向けての青」(AMERICA-BASHI GALLERY 恵比寿 2014)、
「やっぱ月帰るわ、私。」(神保町画廊 東京 2014、M2 gallery 2013、ニコンサロン 新宿 大阪 2013、テルメギャラリー 2013 などで開催)、
「Suburbia,Kigurumi,Hikikomori」(Mo.Om Art Gallery Milano Italy 2012-2013)など。

主なグループ展に、「比人更大的世界」(RONGYI ART MUSEUM 上海、2021-2022)、「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」(東京、2021)、「赤々舎から 本から 写真から -ポートレートの風景- 」(AWAJI Cafe and Gallery 2017)、「TOKYO PHOTO 2014」、「赤々舎から 本から 写真から」(青山スパイラルガーデン 2014)、「シブカル祭」(渋谷PARCO  2013)など。

2008年 三木淳賞奨励賞受賞。2018年 第43回 伊奈信男賞受賞。2019年日本写真協会賞新人賞。



Kawori Inbe

Photographer, born in Tokyo in 1980.
Many 
solo and group exhibitions,
"Imperfect Cat"  "Time to go back...to the moon." including those held not only in Japan but also in Milan and Shanghai.

Has shown at group exhibitions in Los Angeles, Barcelona and Hong Kong, and staged a solo 5 month-long solo exhibition in Milan over 2012 - 2013.
Assembled a special collection of works for the june 2013 feature issue of TEiCAM BOOKS, a free magazine in Paris. 


Awards
2008 Nikon salon Jun Miki encouragement award
2018 43th The Ina Nobuo Award
2019 Photographic Society of Japan Newcomer's Award