Books

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BIRTH(通常版)
澁谷征司 写真集
5,000円+税 | 285 × 320 mm | 132頁 | 上製本
アートディレクション : 近藤一弥

BIRTH
Photographs by Seiji Shibuya


5,000JPY | 285 × 320 mm | 132 page | hardcover
Art Director : Kazuya Kondo


ISBN : 978-4-903545-24-0
Published in January 2008






About Book

帯文より
素晴らしい写真だ。この本の一部になれたことを誇りに思う。
―ロバート・ワイアット[ミュージシャン]


『BIRTH』について

知らない町の話を聞くのが好きな子供だった。
どこか遠くに行きたかったわけではなく、ただ風景を想像するだけでよかったのだろう。
それは誰のものでもなく、同時に誰もが持っている物語のような風景。 いつの頃からか僕のささやかな世界地図は、頼りないミツバチのピンで少しずつ埋まっていくようになる。 顔のない海。透明な音楽を包む霧。神様を迎えた池。深い森を抜けてゆく小川。ロックンロールを運ぶ黒い運河。
年代順に並べられた全ての場所は水で繋がれ、最期に僕は哀しく優しい"声"に遭遇する。 無が有になる時の少し熱を帯びた感触は僕の指先や感受性をつらぬき、
永遠と一瞬のなか僕を曇りなき"まなこ"にしてくれる。
そこに写し出されるのは遥か自分の手を離れた神々しくも親密な風景だ。 僕が辿ってきた絶え間ない光と影の交換が、すべての水を集める大きな河のような一つの流れになり、
何か優しさのような物に吸い込まれてゆく事を、僕はこれからも見届けてゆく気がする。

澁谷征司


「音楽的な何か」を追って
ドイツのジャズレーベル「ECM」の取材のためにドイツに向かうにあたって、編集担当の僕が、写真家とともに考えていたことは「音を撮る」ということだった。もっと正確に言うと、「ECM的な音を撮る」だった。ECMはジャズの即興演奏とクラシックの審美性を併せ持った高踏的な音楽をその特徴としている。清澄で研ぎ澄まされたその響きを、ファンは「クリスタルサウンド」と呼ぶ。そこで、僕らは南ドイツのいかにもロマンティックな森や湖をめぐり、その「音のイメージ」を追った。しかし、途中で僕らは間違った風景を見ていたことに気がついた。「ECM的な音」はそんなところにはなかった。むしろアウトバーンの脇の、電線が横切り、ごみが雑然と捨てられているような、すなわちサバービアのいかにも散文的な風景のなかにこそ、僕らの求めていたイメージがあることに気がついたのだ。人為と自然とが無作為に交錯した、名付けることさえ無駄にも思える、いかにも「詩的でない」光景にレンズを向けながら、写真家が「いい感じですね」と呟いたことを覚えている。
こうした経緯を経て写真家が捉えたイメージは、後にその意図が図星であったことが判明する。写真家の撮影した「音のイメージ」は「ECM」サウンドの核心を握る社長のマンフレッド・アイヒャー氏によって、とある本のなかで、以下のように説明される。
ECMを訪れた日本のフォトグラファーは、工業地帯の名もない場所を写し出した。人々はそこへ入り、出て、また次の名もない場所へと向かってゆく。詩的で、不思議な親近感を抱かせる写真である。(中略)この場所には自由がある。この場所のプレイスレスネス(場所性のなさ)には、音楽的な何かがある。「私の場所」、エドモン・ジャベスはかつて言った、「それは、あらゆる"私の場所的なもの"の欠如である」。
都市と田舎のはざまにあって、「通り過ぎるためのみに通り過ぎる」ような場所。「場所性」というものが欠如したこうした場所に、ECMの社長は「音楽的な何か」があるというのだ。僕は、今にして、この彼の言葉が、ECMの音楽のありようを表しながら、同時に、写真家の意図を的確に見抜いた言葉であることがよくわかる。本書「Birth」に収められた「奇妙で親密な」写真の題材となった場所は、一環したテーマ性に基づいて選ばれているわけではない。なぜなら、個々の場所は、メディアもテーマもまったく異なるアサインメントのために訪ね、撮影されたものだからだ。それでも、僕には、すべてのイメージに通低するものとして「音楽的な何か」を感じ取ることができる。オステンドの海岸、宇佐の神社、多度の杜、ECMのオフィス、オスロのスタジオ、アバディーンの森、グラスゴーやラウスという街に暮らす音楽家。どこの場所に赴いたとしても、写真家の目線は変わることがない。彼は、きっとそこに「音楽的な何か」を探そうとしている。
「音楽的な何か」とは何だろうかと考えて、僕はそれを、「響き」や「ヴァイブレーション」と呼んでみようかと思ったりする。あるいは「オーラ」や、さらにもう一歩オカルトに踏み込んで、その土地の「霊(スピリット)」のようなものかも知れないと考える。いずれにせよ、それは目に見ることはできなくて、曖昧で、どこか非科学的のように聞こえて、同時に物事の本質に関わっていると思えるような「何か」だ。写真家は、そうしたものにカメラを通して「耳を澄ませ」、そしてそこに「音楽的な何か」を見出すことによって、あらゆる場所を「場所性の欠如した場所」へと反転させてゆくのだ。
ロバート・ワイアットが自宅で、トランペットを吹いている写真を見ていると、それが実在する場所の実在する人物の写真とは思えず、むしろ「精霊」を見ているような気にさせられるのはなぜだろうか。そこに漂う「音楽的な何か」の気配こそが、人や場所の実在性よりもはるかに確かなもののように思えてくるのは、何も僕がロバート・ワイアットのファンだから、というだけではないはずだ。そうしたことは、たとえばアバディーンの森に佇む樵たちの姿を見ても同様に感じることができる。
「音楽的な何か」がある場所には、「場所性の欠如がある」。そして、その「場所性の欠如」は、その場所や人が、どこか名付けえぬところで宙吊りとなったものであることを証拠だてるだろう。前述のアイヒャーの言葉を、逆からたどっていくような道筋を、僕はこの「Birth」に収録された写真のなかに見出していく。
異界の入り口にある神社や、手つかずの自然のように見えて実はすべて植樹林であるアバディーンの森が、実際のところ、「異界と現世」あるいは「自然と人為」のはざまにある、「どちらでもない場所」であることは後付けの情報として知っておくだけでいいだろう。そこに「音楽的な何か」がある限り、世界中のあらゆる場所は、何かと何かのはざまにあって「無名化」されうるものであることを、これらの写真は僕らに語りかけているのではないだろうか。
聞けば、写真家が、本書のタイトル候補として「Bible」という案を挙げていたというのは示唆的ではないだろうか。天国と地獄との間で、宙吊りにされた「場所性の欠如した場所」として「この世界」はある、といったことを写真家は考えたのかも知れない。いずれにせよ、写真家は、この写真集を、「声に出会う旅」と語っている。それは、本書の末尾に登場するロバート・ワイアットの存在を踏まえながら本書の構成を語ったものだが、実際はそれ以上の意味を持っている。結局のところ、本書のすべての作品が、「声」、すなわち「音楽的な何か」を追い求める旅の一部だったということなのだ。これらの写真のなかで、すべての場所は「音楽的な何か」を見出されることによって、絶えずその「場所性」を剥奪されていく。そして、そうした場所をのみ、写真家は「私の場所」とするのである。
「私の場所、それは、あらゆる『私の場所的なもの』の欠如である」
渋谷征司にとっての写真は、きっと、「私の場所」を「生み出す(Birth)」ための儀式であり、それを可能たらしめる魔術なのである。

若林恵(編集者)

"BIRTH" is a deceptively simple book, collecting 10 years' worth of Seiji Shibuya's photographs. The book is ordered chronologically, and separated geographically, so that each of the book's six sections represents a different time and place. There is a particular focus on nature and music: forests in Japan and America sit alongside photographs of recording studios in Europe, as well as a series of portraits of the musician Robert Wyatt. Despite these broader themes, Shibuya does not claim any grand meaning for the photographs in "Birth": it seems that he's just looking for, and finding, moments of unforced beauty.

Sold out and this book will be reprinted

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Artist Information

澁谷征司 | Seiji Shibuya > HP

1975年 東京生まれ 1995年より独学で写真を始める
2007年 AMPGにて個展「BIRTH」開催
2008年 南青山のスパイラルにてPhoto Selection by Spiral vol.1 澁谷征司写真展「RIVER」開催
2010年 AKAAKAにて個展「DANCE」開催
2011年 AKAAKAにて個展「FLAME」開催
現在、東京在住

1975 Born in Tokyo, Japan. Lives and Works in Tokyo.

- Exhibitions -
2007 [BIRTH], AMPG, Tokyo
2008 [RIVER], Aoyama Spiral Gallery, Tokyo
2010 [DANCE], AKAAKA, Tokyo
2011 [FLAME], AKAAKA, Tokyo


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ストレンジリ・ファミリアー
ミカル・シェルビン 写真集
3,500円+税 | 250 × 285 mm | 112頁 | 上製本
Strangely Familiar
Photographs by Michal Chelbin
3,500JPY | 250 × 285 mm | 112 page | hardcover

ISBN : 978-4-903545-23-3
Published in April 2008




About Book

『ストレンジリ・ファミリアー』の被写体となっているのは、主に東欧の移動式の小さな見世物やサーカスの人々、運動選手やダンサーであるが、これらの男女・子供たちが実際に人前でどのような行為を演じてみせるのかを写真から識別することはほぼ不可能だ。空中ブランコか、それとも綱渡りか? 犬、鳥、馬、猿などの動物を使うか? 子供たちはサーカスの二代目、あるいは三代目か...?

写真の中に手掛かりとなる情報がわずかしかなく、それを見る私たちは反射的に不明な部分を自分で埋め、イメージの持つ物語に導かれるままに進んでゆく。その感覚は何一つ明白ではなく、何一つ当たり前ではない、幾通りもの解き方のある謎のようなダイアン・アーバスの作品を彷彿とさせる。シェルビンの作品もまたアーバスの作品と同じように観る者の脳裏に焼きついて離れない。

シェルビンが被写体と共に、信頼関係とバランスによって高所に留まるアクロバットと同じ状態を引き起こしながら生み出した作品は、ありのままではないが偽りのない、作為的だが真実だけを材料とした虚構の記録である。

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Artist Information

ミカル・シェルビン | MICHAL CHELBIN

1976年 イスラエル、ハイファ市に生まれる
1989年 写真を始める
1992-1994年 イスラエル軍隊の義務兵役期間中、軍事写真家として服する
1997-2001年 イスラエル、ハイファ市の国際婦人シオニスト機関デザイン教育学校(WIZO Academy ofDesign and Education)にて写真専攻、首席で卒業する
1999年 個人プロジェクトを始める
2003-2006年 Strangely Familiar シリーズに集中して制作する。 ロシア、ウクライナ、イギリス、イスラエルへ数回旅する
2006年 ブルックリンに移住。編集関連の仕事を始める

[ コレクション ]
サー・エルトン・ジョン・コレクション(英国)
パラッツォ・フォルティ(イタリア、ヴェローナ市)
ポートランド美術館(オレゴン州ポートランド市)
テルアビブ美術館(イスラエル)
ハイファ美術館(イスラエル、ハイファ市)
ヘルツェリア現代美術館(イスラエル、ヘルツェリア市)
他コレクション多数

Born in Israel, 1974
1997-2001 Studied at the Wizo Academy of Design & Education, Haifa, Israel

- Awards -
2005 Israeli Photographer Prize
2004 Israeli Lottery Board Grant
2003 Rabinowitz Foundation Grant
2003 Israeli Lottery Board Grant
2003 Artist in Residence, Hameau des Artistes ,Paris, France
2002 Rabinowitz Foundation Grant
2002 America-Israel Cultural Foundation Grant

- Public Collection
Tel-Aviv Museum of Art, Israel
Sir Elton John's colle

bk-hanayo-magma-02.jpg
MAGMA
花代 写真集
3,800円+税 | 233 × 315 mm | 86頁 | 上製本
アートディレクション : Young And Robot
MAGMA
Photographs by Hanayo
3,800JPY | 233 × 315 mm | 86 page | hardcover
Art Director : Young And Robot

ISBN : 978-4-903545-25-7
Published in January 2008






オリジナルプリント付きプレミアムエディション
10,000円+税 | 233 × 315 mm | 86頁 | 上製本|限定100部(シリアルナンバー入)
表紙作品のオリジナルプリント(99×73mm)付・花代サイン入

Premium edition with original print
10,000JPY | 233 × 315 mm | 86 page | hardcover |Ed. 100(with serial number)
Original print of cover image(99×73mm) included, Signed




About Book

ベルリン在住(刊行当時)のアーティスト・花代の5年ぶりの写真集。
「日常」の膨大な「スナップ」からセレクトされた作品は、
いつ頃の写真なのか、何処の何を撮ったのかもはっきりしないことすらある。
壊れかけのカメラ、甘いピント、転んでしまった色......
偶発性はそのまま写し留められ、白昼夢のような表層の奥には、
イメージの純粋な強度が潜む。
私的な記録のかけらが、ひとびとの記憶へと触れていく、
花代の写真の不可思議な力。



Hanayo has been traveling between Tokyo and Berlin for the past 10 years, and the photos in "MAGMA" were shot in both of those places. Her photographs value a clarity of feeling rather than technique: in one photo we see a young child running around a room with a box over his or her head, and even though the photograph is blurred, we can make a good guess about why this photo is important enough to publish. The light in Hanayo's photos sometimes overpowers or distorts her images, but she's able to use this distortion as an atmospheric effect, which can heighten the emotional power of what she's showing the viewer. Certain people appear throughout the book, and while their relations are not always entirely clear, her young daughter seems to be the focal point, appearing in a number of photographs and indeed on the cover as well. This human connection keeps the book grounded as it sometimes approaches the abstract. "MAGMA" is sometimes vague, but there are enough casually observed moments of beauty here to satisfy anyone.

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Artist Information

花代 | hanayo > > HP

SOL

bk-ariko-sol-02.jpg
SOL
ARIKO 写真集
3,300円+税 | 280 × 225 mm | 80頁 | 上製本
アートディレクション : 角田純一
SOL
Photographs by ARIKO
3,300JPY | 208 × 225 mm | 80 page | hardcover
Art Director : Junichi Tsunoda
ISBN : 978-4-903545-27-1
Published in August 2008


About Book

5年にわたるアイスランドでの撮影から生まれた、
ARIKO初の写真集。
幻想的な妖精の島。
そこに湧き出る水や、苔の感触は京都で生まれ育ち寺や神社、
家の坪庭を遊び場としていたARIKOの原初の記憶に触れる。
自然と動物と人間が助け合って生きている場所。
地球の底とつながり、宇宙へとひらかれていく場所。
ARIKOの写真の光や水は、始まりも終わりも
すべてがそこに含まれていることを体感させてくれる。
目だけではなく、
まるで私たちの細胞で感じる風景のように

ARIKO写真集「S´OL」(太陽)。水をたたえ、湯気に包まれたアイスランドの大地。ふりそそぐ光のもと、人も動物も自然も共生する。地球という惑星の、記憶の中の風景に出会う、果てしない一瞬。



"SOL" is the result of a series of journeys that Ariko took to Iceland, over the course of five years. The photographs in this book show a deep connection with nature; people only appear a couple of times here. There's particular attention paid to water, whether it's in the form of clouds, mist, or hot springs. Through Ariko's lens, the Icelandic landscape appears as a sometimes rugged but always beautiful phenomenon. Her photographs show that she's not just looking at it coldly, but attempting to transmit her own experience of it.

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Artist Information

ariko > HP

1975年 京都生まれ
1992年 カリフォルニア洲サンデイゴの高校に留学
1995年 ニューヨークに移住
1999年 ニューヨークパーソンズスクールオブデザイン写真科BFA修得
1999年 卒業最優秀賞受賞ゲスト審査員アルバートワトソン
1999年 写真新世紀佳作「PDN 30 under 30」
2006年 拠点をNYから東京に移す

- 個展 -
2008年 TRAX、山梨
2008年 SHIN-BI 、京都
2009年 ハロー画廊、京都
2009年 ROCKET 、東京

- グループ展 -
2005年 唐招提寺展 東京国立博物館、東京
2008年 Art Court Frontier 2008 #6 ARTCOURT Gallery、大阪
2010年 Brand New Valentine 三菱地所アルティアム、博多



1975 born in Kyoto
1992 moved to San Diego CA
1995 moved to NY
1999 graduated Parson School of design in NY BFA degree in photography
1999 Graduation show Best award by guest judge Albert Watson
1999 New Cosmos of photography Honorable mention awards
1999 Selected 30 under 30 PDN
2006 moved to Tokyo
2008 published first book SOL by akaaka art publishing

- Soloexhibition -
2008 TRAX gallery,Yamanashi
2008 Shin-bi gallery,Kyoto
2009 HaloGalo,Kyoto
2009 Rocket gallery,Tokyo

- Group show -
2005 Photography and Haiku Poems delicated to Ganjinwajo and Vairocana Buddha:
2005 Dedication of Flowers exhibition by woman photographer,Tokyo National Museum, Tokyo
2008 Art Court frontier 2008#6,Art Court Gallery,Osaka
2010 Brand New Valentine , Artium , Fukuoka

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昭和40年会の東京案内
昭和40年会
アートディレクション:奥定泰之
1,800円+税|B5変型|320頁|並製
ISBN:978-4-903545-31-8
Published in August 2008





About Book

生まれた年だけが共通項のアーティスト6人が綴る、TOKYO名所めぐり―。東京を巡る珠玉のエッセイの数々。

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昭和40年会HP

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