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チェコ・エデン
マシュー・モンティス 写真集
3,500円+税 | 277 × 241 mm | 80頁 | 上製本
Czech Eden
Photographs by Matthew Monteith
3,500JPY | 277 × 241 mm | 80 page | hardcover

ISBN : 978-4-903545-08-0
Published in May 2007






About Book

序文より

この作品集はチェコの状況をシンボリックに月並みな視覚効果をもって表現しているのではない。かれは、ただ彼自身の現代社会への視点を描いているだけなのだ。この作品群はあらゆる意味においても「チェコ・エデン」には当たらない。そのかわりに、独創的で、私的で、そして効果的な方法で、ひとりの現代人が馴染みのない世界に対して抱く様々な心情をとらえる。巡礼者として、モンティスはその中に居ながらほとんどの場合孤立しているのだ。

この本の冒頭にある、岩盤の中で撮影されたチェスキー・ラーイ(チェコの楽園:プラハから97km北東に位置するユネスコの自然保護区)の写真はまさに象徴的だ。階段は何ら明確な目的地へと上がっていかず、ただ狭い通路のどんよりした光景のみがある。そしてもう一つの岩石の写真である洞窟。言い換えれば暗闇へ続くもう一つの旅。人々は多くの孤独のうちに描写されている。(中略)

私たちの国ではこの孤独、この相互の孤立は多分にフランツ・カフカによって大変効果的に描かれた。私にとって、マシュー・モンティスの写真は、この文学の鬼才により打ち出された世界を周遊する旅のように感じられるのだ。

この写真家がチェコの観光旅行へと連れて行ってくれる、と期待する者は裏切られるであろう。彼らが珍しい石の都市などに興味があるのなら、インターネット上に何百枚もの写真を見ることができる。それよりも現代の世界は、最も説得力のあるやり方で彼らと向き合い、単なる情報以上を伝達しようとする芸術作品の重要性を知ることになる。

イヴァン・クリーマ (作家) による序文より抜粋

Book Previews

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Artist Information

マシュー・モンティス | MATTHEW MONTEITHHP : http://www.matthewmonteith.com/

1974年 ミシガン州ハウエル市生まれ
2004年 エール大学美術学修士号取得
現在、ニューヨーク市ブルックリン在住 ニューヨーク・タイムズ、ル・モンド、リベラションなどの紙面で取り上げられ、マーティン・パーによる紹介記事によっても知られる。


Matthew Monteith studied at the International Center of Photography before earning an MFA from the Yale School of Art in 2004. He was a Fulbright Scholar in the Czech Republic from 2001-2002 and the resulting work was published as Czech Eden by Aperture in 2007. He had a residency at the Marie Walsh Sharpe Foundation in New York City in 2004-05 and received the Abigail Cohen Rome Prize in Photography from the American Academy in Rome in 2008. His editorial work has appeared in many magazines, including GQ, The New York Times Magazine, Interview, W, and Dwell and his artwork has been exhibited in solo exhibitions in San Francisco, Kyoto, Paris, Arles, and Cherbourg as well as in group exhibitions in New York, Charlotte, Miami, Washington D.C., Rennes, Ljubljana, Prague, and Rome. He lives and works in New York.

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INNOCENCE
石内都 写真集
3,800円+税 | 212 × 280 mm | 90頁 | 上製本
アートディレクション : 中島英樹

INNOCENCE
Photographs by Miyako Ishiuchi


3,800JPY | 212 × 280 mm | 90 page | hardcover
Art Director : Hideki Nakajima


ISBN : 978-4-903545-12-7
Published in May 2007






About Book

あとがきより キズアトの女神たち|石内都

傷つくことでしか生きていけないとしたら、皮膚の上にあるキズアトは生きている証拠そのものであるけれど、女性のからだにのこる傷は重い時間のカタチとしてある。はかりしれない悲しみや、くらべることのできない固有の苦しみは、長い日常の中をくぐりぬけ、傷を受けたその日の瞬間を、化石のように干からびた過去にすることなく、脈々と息づき今日にいたる。

彼女はヒラリと羽衣を天空から引き寄せ、自分のからだにフワリと巻きつけた。何も着ていないからだにまとわりついた羽衣は、しだいに皮膚の一部となり、肌理を整え、からだに染みて、きれいな表層を作り出す。それがいつだったのか思い出すのをやめてしまうと、羽衣が傷だったことも忘れ、そのわずかな痕跡からにじみ出る体液のような密度のある力によって、黒いひと粒の粒子が生まれる。粒子は粒子を呼びおこし、光と影の無彩色が白い印画紙に焼き付き、羽衣は写真の中によみがえる。

キズアトの女神に会った。彼女のからだから放出される熱量は、あたりの空気を浄化させ、からだのフォルムは見知らぬ美しい曲線を描き出す。人が生きていることの根源的な存在をもう一度考え直さなければならないような、思考の回路を彼女は与える。

この一、二年、傷のある女性たちと出会う機会が多く、集中的に撮影をした。からだに傷の在る女性は、なぜか絶対的な無垢に近い存在なのだと勝手にきめていた。その根拠はアイマイなのだが、"INNOCENCE"を作る過程において、少し自信をもっていいかもしれないと思えるようになった。それは"1・9・4・7"から持ち越されていた問題が見えてきたからだ。20年の歳月がその間たとうとしている。時の器に盛られた自己や個性など、あまりに他愛ない小さなコトであるように、からだの表面上にある若さや老い、美醜などほとんど等しく表裏なのだと"INNOCENCE"は語りかける。そして、私と写真との関係や写真の在り方や距離感がやっとはっきりしてきたのだと近ごろ感じる。

"INNOCENCE" is a unique book of photographs, portraits of sorts that Miyako Ishiuchi took of scars on women's bodies. We never see the faces of her subjects, only the marks which remain on their bodies. These black-and-white photos have been processed to make the contrast quite neutral, leaving little difference between the subject's skin, which is lit only by natural light. For Ishiuchi, these scarred bodies represent a kind of purity. In a text which accompanies the book, and has been translated into English, Ishiuchi states: "just as self, individuality and the like when piled on the plate of time seem silly and inconsequential, so youth and age, beauty and ugliness on the surface of the body are pretty much just two sides of the same coin." "INNOCENCE" is a carefully considered study of the female body, from a perspective which is not often represented.

Book Previews

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Artist Information

石内都 | Miyako IshiuchiHP : http://www.thethirdgalleryaya.com/artists/miyako_ishiuchi/

1947 群馬県生まれ
1953-1966 横須賀育ち
1970 多摩美術大学デザイン科、織りコース中退
1979 第4回木村伊兵衛写真賞受賞
1999 第11回写真の会賞受賞、第15回東川国内作家賞受賞
2003 第15回写真の会賞受賞
2006 日本写真協会賞作家賞
2009 毎日芸術賞

1947 Born in Gunma
1953 Moves to Yokosuka
1970 Leaves Tama Art University, major in textiles, without graduating
1979 Awarded the 4th Kimura Ihei Memorial Photography Award
1999 Awarded the 11th Shashin-no-kai Award
1999 Awarded the 15th the Domestic Photographer Prize of the Higashikawa Prize
2003 Awarded the 15th Shashin-no-kai Award
2005 Awarded the Photographic Society in Japan's Prize for 2006
2009 Awarded the Mainichi Art Award


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光陰
江渡華子 句集
1,500円+税 | 131 × 187 mm | 92頁 | 並製本
アートディレクション : 新庄清二

Koin
Haikus by Hanako Eto


1,500JPY | 215 × 250 mm | 100 page | softcover
Art Director : Seiji Shinjo

ISBN: 978-4-903545-11-0
Published in March 2007


About Book

今春、京都の大学を卒業した若手作家による、初めての句集。
「田水沸く」(夏)、「空の裏」(秋)、「マスクして」(冬)、「春鹿」(春) の順に展開される四季の句は、季語を新鮮に生かしつつ、思い切りのよい把握と身体感覚を見せる。随所にのぞく、キャンパスの風景や故郷青森への思慕も等身大で印象的。
また、内向する恋の情感や、生死を突き抜けたような目の抽象性も、その個性の萌芽といえるだろう。

「春鹿」より
塵も春象が階段降りてゆく
春はそこ放物線を越えてくる
春鹿や兄の木刀欠けており
暗き部屋メールで届く春の虹
「待て」命ず身体は白く風光る
春雷や犬の鼓動に耳澄ます
麦青む身は鉛筆を真似ており
空の中人を探して竹の秋
晩春の枕の染みをこすりおり
半身は男のままで春暮れる
「あとがき」より

Book Previews

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Artist Information

江渡華子 | Hanako Eto

1984年 生まれ
2002年 第四回神奈川大学青春俳句大賞・最優秀賞受賞
現在、東京在住


Born in Aomori, 1984. Lives and works in Tokyo. Won the Highest Award at the 4th Kanagawa University Haiku Award for High School Student in 2002.

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Aus den Fugen
脱臼した時間
古屋誠一 写真集
2,800円+税 | 174 × 240 mm | 92頁 | 並製本
アートディレクション : 中島英樹

Aus den Fugen
Photographs by Seiichi Furuya


2,800JPY | 174 × 240 mm | 92 page | softcover
Art Director : Hideki Nakajima


ISBN : 978-4-903545-10-3
Published in March 2007






About Book

自ら命を絶った妻クリスティーネの行方のないまなざしと向き合い続ける古屋誠一。その行為は過去から未来へ流れゆく時間の中に死者を招き入れ、過去と新たに出会い直しながら、安定した現在の時間を脱臼させていく。彼女を再び失わないために「脱臼した時間」を歩み続ける古屋のレンズは今何へと向けられているのだろうか。不条理な生を認めつつ、死の意味を問い続ける行為が結実した最新写真集。未発表作品を多数収録。
(タイトル「Aus den Fugen」は『ハムレット』の「The time is out of joint」(時間の関節が外れてしまったのだ)という台詞のドイツ語訳からとられている。)
静岡県西伊豆に生まれた古屋誠一は大学を卒業後、シベリア経由でヨーロッパに渡り、1978年、オーストリアのグラーツで妻となる女性、クリスティーネ・ゲッスラーと出会う。共に暮らす女性を撮影するという日常的な営みは、出会いから7年半後の1985年に突然の中断を余儀なくされる。1983年頃から精神を病んだクリスティーネは息子と3人で住んでいた東ベルリンのアパートから身を投げて自ら命を絶ち、残された彼女のポートレイトはその意味を変えてしまったからだ。妻の死から十数年を経て整理された「遺影」は古屋の手によって写真集として世に出され、彼女の姿は「写真家古屋誠一」と切り離せないものとなった。「クリスティーネ」は死後の生を与えられているかのようでもあり、その存在は彼女亡き後に撮られた古屋の写真にも影を落としているように見える。
古屋の写真行為からは機械によって捉えられ、物質として残された映像をどのように身体化していくのか、私的な記憶という共有不可能なものがいかにして他者に向かって開かれていくのかという回路の一端が垣間見られる。そして、それは媒介としての写真の可能性そのものであり、個人的なアルバムから抜け出し、はからずも「作品」となってしまった写真の在りようを我々に見せてくれるだろう。今、古屋誠一は自らの写真の中に何を見るのか、そして「死後の生」を生きる者からの眼差しにどのように応えるのだろうか?

"Aus den Fugen" is a book shot over almost 30 years of Seiichi Furuya's life. It includes many photographs Austria, where he now lives. He met an Austrian woman, Christine Gossler, and they eventually married and had a child. However, Christine committed suicide only a few years later, and this event has dramatically shaped Furuya's approach to photography. The book is largely made up of snapshots, some of which are abstract, while others show Christine. The mixture of photographs from his time with Christine and the time after her death makes "Aus den Fugen" a poignant meditation on loss.

 Includes English translation of a text by filmmaker and curator Masashi Kohara. 

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Artist Information

古屋誠一 | Seiichi Furuya

1950年静岡県生まれ。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業。1973年にシベリア経由でヨーロッパに向かい、各地に点住し1987年以降はオー ストリアのグラーツを拠点に活動。「カメラ・オーストリア」誌の創刊、編集、「フォルム・シュタットパルク」の活動に参加し、日本の写真家をヨーロッパに 紹介するなど、幅広い活動を展開している。写真集に、1980年に滞在したアムステルダムからなる写真集「AMS」また1978年に結婚し1985年に自 ら命を絶った妻クリスティーネの肖像やヨーロッパ各地を撮影し続ける《Gravitation》シリーズ を 編んだ「Memoires」、「Seiichi Furuya Memoires 1995」や「Christine Furuya-Gossler Memoires, 1978-1985」、「Portrait」がある。2002年、「Last Trip to Venice」で第27回伊奈信男賞受賞。2003年、日本の現代写真家を紹介する展覧会「Keep in Touch」をグラーツにて開催。2004年、ウィーン・アルベティーナ美術館にて個展開催と同時に「alive」を出版、さがみはら写真賞を受賞。 2006年10月に赤々舎より、初めて公開するクリスティーネの手記を基に編集された写真集「Memoires 1983」を出版。

Born in Shizuoka, 1950. Graduated from Tokyo Polytechnic University. Since 1987, lives in Graz, Austria. Founded and Edited ' Camera Austria', introducing Japanese Photographers. Published 'Memoires', 'Seiichi Furuya Memoires 1995', 'Christine Furuya-Gossler Memoires, 1978-1985', etc. Won the 27th Ina Nobuo Photography Award, and Sagamihara Photography Award in 2004.


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O JUN 1996-2007
O JUN 作品集
2,800円+税 | 182 × 257 mm | 112頁 | 並製本
アートディレクション : 河合千明
O JUN 1996-2007
Works by O JUN
2,800JPY | 182 × 257 mm | 112 page | softcover
Art Director : Chiaki Kawai
ISBN : 978-4-903545-09-7
Published in February 2007


About Book

待望のO JUN初作品集。単に代表作を並べるのではなく、言葉と展開で「想像すること」「描くこと」を見せる画期的な本。
O JUNは、私たちが日常身にまとっているもの――たとえば「服」や「学校」や「国」などー―を描きます。一見、意味をもたないかに見える、ぽつんと二次元に置かれたイメージ。でもそこにある「もの」は未知のものではなく、私たちが成長の過程で、そして生きていく上で一つ一つ脱ぎ、捨てていったものの「記録」です。本当は忘れているだけで、「アザ」のように、私たちの身体のどこかにぺたり、と貼り付いているのです。「星の王子さま」に登場する象をのみこんだウワバミの絵のように、じっと見つめてください。すると「もの」の奥にひそんだ「本質」、そして日常に埋もれかけていた「記憶」が浮かんできませんかーー。

O JUNー。その、国籍不明の不思議な響きの名前もさることながら、彼の描く絵もまた人に不思議な印象を与えます。 O JUNの描く絵は、明快で単純です。数年間のドイツ、デュッセルドルフ滞在にも関係があるであろう鮮やかな色彩使い、そして画面上に不安定に配置されたモティーフ、それだけで見るものはハッとさせられ、そこに立ち止まらずにはいられません。彼の絵には強い自己主張も特別な説明もつけられているわけではなく、観る観客に自分たちの頭の中で自由勝手に想像する楽しみの余地を残しています、そうまるでサンテグジュペリが「星のおうじさま」の中に描いた「ぞうをのみこんだウワバミ」のように!彼の絵の背後に見えるのはどんな物語なのか。単純そうでいて実は複雑なのかもしれない。よくわからないし、作家の説明も極力控えられている。でもそうして絵を見ながら自分の物語を創造するのがとても楽しい。一方的なはずの絵なのに一方的ではない。そんなところもO JUNの作品を見る楽しみの一つといえるでしょう。

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Artist Information

O JUNHP

1956年 東京生まれ
1980年 東京芸術大学美術学部油画科卒業
1982年 東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士修了
1984 - 1985年 スペイン・バルセロナ滞在
1990 - 1994年 ドイツ・デュッセルドルフ滞在
1999 - 2001年 東京芸術大学美術学部油画科非常勤講師
2003 - 2006年 東京造形大学絵画科非常勤講師
2006年 -  東京造形大学絵画科特認教授、女子美術大学非常勤講師


1956 Born in Tokyo, Lives and Works in Tokyo
1980 Graduated from the Faculty of Fine Arts in Tokyo National University of Fine Arts and Music
1982 Completed the Fine Arts Graduate School in Tokyo National University of Fine Arts and Music
1984-85 Stayed in Barcelona, Spain
1990-94 Stayed in Dusseldorf, Germany

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