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写真集『私は眠らない』の藤岡亜弥さんが大阪ニコンサロンにて写真展「Life Studies」を開催致します。

東京の開催でも全国から連日のように多くの方にお越し頂き、たいへんご好評を頂いた展示です。


NYでの4年間の混沌とした日常が本編なら、その物語の本編をおもしろがる余裕など私にはなかった、いつもそこから逃げ出し外に向かって歩こうとする自分がいた- そう語る作家が、目をそらした先、物欲しそうに見つめたものが、小さな自分をうつろわせながら、鈍く光り続ける時間として大きな何かを見る者の思いに物語らせる素晴らしい展示です。


またとないこの機会に、皆さまぜひ足をお運びください。 (春から新しい生活を始められる方などぜひ!)


初日27日は作家も在廊予定です。


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©Aya Fujioka



作者は文化庁海外派遣留学生として2008年から1年間ニューヨークを拠点に創作活動を始めた。その後さらに3年間ニューヨークに滞在し写真制作に励んだ。その4年間の成果が本展である。

作者のニューヨークでの表現活動は、必ずしもスムーズにスタートしたわけではなかった。経済的不安定や人間関係のストレス、もつれる愛など、生活のペースを獲得することすら困難な状況に陥ることもあった。

文 化庁派遣留学生としての1年は、ニューヨークに順応する為の時間に費やすことになったと振りかえる。そしてようやくカメラを手にした。対象は虚言癖のある ボーイフレンド、マリファナ中毒の隣人、ルーズでナルシストなルームメイトなど。そして街頭の人々のスナップショットに集中してゆく。

しかし作者は、表現の対象は写している他者でなく自分自身であることに気づく。

被写体としてよく現れるのは、悲劇的にも見える子供たち、対照的に戯れる恋人たち、それらが交互に縄を編むように現れてくる構造は、悲嘆と願望との落差で翻弄された作者のニューヨークで体験した「Life Studies」である。

ニューヨークという大都市に渦巻く巨大なエネルギーの混沌。弱者と強者、軽さと重さ、その両極の間にのみ込まれ、膨張と収縮をくりかえしながら、写真を撮ることでようやく立ち上がってゆく作家の姿をここに見ることができる。カラー42点。 



作者のプロフィール

藤岡 亜弥(フジオカ アヤ)

広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。1996年~98年台湾師範大学留学。08年文化庁海外派遣留学にて1年間ニューヨークに滞在。その後12年までニューヨークで活動。94年日本大学芸術学部芸術学会奨励賞、04年ビジュアルアーツフォトアワード、ひとつぼ展入選、10年日本写真協会新人賞受賞。広島を拠点に活動。

主な写真展(個展)に、96年「なみだ壺」(ガーディアン・ガーデン/東京)、「笑門来福」(WORKS H/横浜)、01年「さよならを教えて」、04年「離愁」(以上新宿ニコンサロン)、05年同展(ビジュアルアーツギャラリー/東京、大阪、名古屋、九州)、06年「私は眠らない」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、09年同展(スペースAKAAKA/東京)、10年「Life Studies」(Dexon gallery/New York)、11年「Life Studies」「アヤ子江古田気分」(スペースAKAAKA/東京)、12年「離愁」(スペースAKAAKA/東京・ギャラリーG/広島)があり、グループ展に、05年「離愁」(ひとつぼ展)、「マリクレール ホワイトキャンペーン 2005」、06年「中国平遥国際写真フェスティバル」、「フォトグラフィティ1980−2005」(新写真派協会 ポートレートギャラリー)、10年"飯沢耕太郎が注目する女性写真家"(RICOH リングキューブ)、日本写真協会受賞作品展(フジフォトギャラリー)などがある。また、出版物に、『「シャッター&ラブ」16人の若手女性写真家』(インファス出版/96年刊)、『さよならを教えて』(ビジュアルアーツ出版/04年刊)、『私は眠らない』(赤々舎/09年刊)などがある。http://www.ayafujioka.com/



藤岡亜弥写真展

Life Studies


日時

2014年3/27 (木) ~4/2 (水) 10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

 

会場

大阪ニコンサロン

大阪市北区梅田2-2-2  ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13F



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藤岡亜弥写真集『私は眠らない』はこちらからお買い求めいただけます。


高橋 宗正 × 浅田 政志 × 吉村 英紀トークイベント「震災以降の家族写真」が4月12日(土) 代官山蔦屋書店1号館 2階 イベントスペースにて催されます。

『津波、写真、それから』を弊社より出版した高橋宗正さん、家族写真をテーマにした楽しく濃密な作品をこれまでつくってこられ、現在「アルバムのチカラ」出版プロジェクトも進めている浅田政志さん、そして富士フィルムという、多くの人に写真を楽しんでもらうことをずっと提供されてきた会社で働かれてきた吉村英紀さん(出演者プロフィールのリンクをご覧頂くと、たいへん魅力的なお人柄と、これまでにされてきた数々のすばらしいお仕事のことがご覧頂けます)の三人による、またとないトークイベントです。

ぜひお誘い合わせのうえ、ご参加ください。(ご家族で参加予定のお客様もおられるそうです!)


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ぼくは震災以降、宮城県山元町で津波に流された写真を洗浄して 持ち主に返していく活動に深く関わってきました。その返却作業 の中でダメージが酷く処分されそうな写真が多くでてきました。
その写真を捨ててしまうのではなく、現地に来られない人に見て もらい理解を深め寄付金を集めるために立ち上げたのが 「LOST&FOUND PROJECT」です。
それらの経験をまとめた「津波、写真、それから」という本を 出版することになり、改めて家族写真というものについて話し合う 機会をもってみたいと思いました。
浅田政志さんはずっと家族写真を最大級に楽しい思い出として残す ような作品をつくって来ました。
吉村英紀さんは富士フィルムという、多くの人に写真を楽しんで もらうことをずっと提供してきた会社で働いていて、震災以降は いろんな場所で写真洗浄の活動をサポートしてきた人です。

このお二人と話すことで、普段はあまり深く考えることの少ない 家族写真というものの本来持っている大切さについて話ができれば と思っています。

高橋宗正

主催:代官山 蔦屋書店 協力:赤々舎、富士フイルム株式会社
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出演

高橋 宗正 × 浅田 政志 × 吉村 英紀

日時

2014年4月12日(土)19:00~20:30(開場18:45) 

料金

入場無料


定員

先着70名様【注意事項】ご予約は定員に達し次第終了とさせていただきます。


参加方法

イベントへのご参加の前に必ずこちらをご確認ください。* 代官山蔦屋書店HP内のページへ遷移します

お席の数に限りがありますので、ご予約が必須となります。

店頭予約:代官山蔦屋書店2号館1階アートカウンター 
電話予約:03-3770-2525


当日、写真集「津波、写真、それから --LOST&FOUND PROJECT」をご購入頂いたお客様にはポスターを贈呈。LOST&FOUND PROJECTにおいて、売り上げから寄付金を作るために制作されたポスター。 当日は三種類からお好きな一枚を選んでいただけます。このポスターのエピソードは本の中にも登場するので、ぜひ手に取ってお確かめください



出演者プロフィール


高橋 宗正
1980年東京生まれ。
2002年、キヤノン写真新世紀優秀賞を写真ユニットSABAにて受賞。
2010年、写真集「スカイフィッシュ」(赤々舎)出版。
2011年、「思い出サルベージ」副代表として津波に流された写真を洗浄、データ化し持ち主に返していく活動に参加。
2012年、「LOST&FOUND PROJECT」を立ち上げ国内外10ヶ所で展示をしながら宮城県山元町への寄付金を集める活動を開始。

「津波、写真、それから」


浅田 政志
1979年三重県生まれ。
自身を含めた家族が被写体となった写真集、『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。
2014年は企画展「拡張するファッション(水戸芸術館/会期:2/22~5/18)」への出展と、同展作品を収録した『卒業写真の宿題』(赤々舎)、 大宮エリー氏との共著『対局』(パルコ出版刊)を出版している。
また、宮城県南三陸町において地元の人々との写真作品作りや東日本大震災後の写真救済現場を取材した記録「アルバムのチカラ」出版に向けても精力的に活動中である。

「アルバムのチカラ」出版プロジェクト


吉村 英紀 
1964年愛媛県生まれ。
1988年富士写真フイルム(株)(現 富士フイルム(株))入社。入社後しばらくは産業材料(感熱紙)の営業を担当。
35歳で写真関連部門に異動し、以降、FDiサービス、フィルム、写ルンです、フィルムカメラ(NATURA)、 ケータイプリンタ(Pivi)、インスタントカメラ(チェキ)、ネットプリントサービス等の国内マーケティングを担当。
震災後は富士フイルム写真救済プロジェクトのメンバーとして写真救済ボランティアの支援活動を行なった。
現在はイメージング事業部でイヤーアルバム等新規プリントサービスのマーケティングに従事。

写真救済プロジェクト

ほぼ日「仕事論」

 

会場

代官山蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース 東京都渋谷区猿楽町17-5


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『津波、写真、それから』はこちらからお買い求めいただけます。 

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すでにバックナンバーとなってしまいましたが、『週刊文春』2月20日発売号の「私の読書日記」コーナーにて
歌人の穂村弘さんがインベカヲリ★写真集『やっぱ月帰るわ、私。』を取り上げてくださいました。

写真、写真の中の言葉、作品タイトルまで丁寧に見つめながら
ご自身の生き方にまで思いを馳せてくださった、とても素敵な書評です。

ぜひご一読ください。



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今年の1月に弊社が梓会出版文化賞特別賞を受賞させて頂いた際、贈呈式会場にて代表 姫野希美が行った受賞スピーチが3月の梓会通信に掲載されました。

下記に全文を紹介させて頂きますので、普段より赤々舎の本をご愛読頂いている皆様(たいへん感謝致します)、そして弊社の本と出会いあらたにページを開いてくださるかもしれないまだこれから先の多くの皆様に、生きている場所に息づく本をお届けしたいという所志を、是非ご一読頂ければと思います。 

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第29回梓会出版文化賞特別賞を受賞して
ーー写真という大きな問いの器ーー

文・姫野希美


●衝動的な出発
 
 この度は梓会出版文化賞特別賞をいただくことができ、光栄に存じます。赤々舎は2006年の春に設立し、もうすぐ8年が経とうとしております。スタッフは当初は私ともう1名、そして今は私も含めて3名という小さな出版社です。これまでに約110冊の本を刊行し、その9割以上が写真と現代アートの企画出版です。
 私は10年ほど、京都の版元青幻舎にお世話になり、そこではデザインや建築も含めて美術の幅広いジャンルの本を制作していました。そんななかで、当時20歳代だった写真家たちとの出会いが鮮烈で、巻き込まれながら、覆されながら、写真集をつくることに大きな刺激を受けました。写真集やアートの本を集中してつくりたい、いま生きている作家とやりとりをしながら一冊ずつを生み出したいという気持ちから、勝手を言って独立させていただきました。もうひとつ、当時から写真集は採算がとりにくいものでしたが、それでもその売りにくいものこそ売っていきたいという青臭い気持ちがありました。とは言え、なにか具体的な目処や計画があったわけではなく、自分が40歳となるのを目前にして、残された時間で何冊、納得のいく本がつくれるだろうという衝動にも似た行動でした。
 こうして振り返りますと、いまだ端緒に過ぎないという思いでいっぱいです。幸い、この8年は、素晴らしい作家との出会いに恵まれ、彼らに導かれるようにして本をつくることができました。ほとんど業界や潮流を意識せず、少なくとも私ひとりはこんなに心動かされたということを出版の糸口にしてきたように思います。


●大きな問いの器
 
 心動くということは、その作品はわけがわからないものであるということです。わけがわからない、混沌としたエネルギーを、私はとりわけ写真の力だと考えています。イメージの生命体としての在り方が、いちばん写真にはあるような気がしています。だからこそ、社会のなかに、「大きな問いの器」として写真を差し出すことができればと願っています。
 昨年末の大きな喜びとして、先ほど五十嵐太郎さんのお話にも出ました志賀理江子さんの『螺旋海岸』が、世界の「Photo Book of the Year」で幾つもベスト1に推され、大橋仁さんの『そこにすわろうとおもう』など他の写真集も、多くの賞でノミネートされました。志賀さんは宮城県の北釜という村落に数年間を暮らし、地域のカメラマンとして祭などの行事を記録しながら、作品を制作し続けてきました。それは北釜という土地の固有性を物語るものではなく、写真というメディアとは何か、土地とともにある暮らしと表現とは何かについて、志賀さんが自問し追求してきた問いそのものの現れでした。また大橋さんの写真集は、繰り広げられる性の現場が大きな話題を呼びましたが、その肉の姿を通して、写真による人類史を独自に描き出そうとした大作でした。
 これらの写真集は説明もなく、存在としては忽然と世界の読者の前に出現します。見る人を大きな渦に巻き込むようなエネルギーは、もちろん作品の力であるとともに、写真集そのものが放つ強度も深く関わっていると思われます。日本において写真集はカタログではなく、作品を体現するものとして、デザイン・印刷・製本まで一体になりながら創意を
尽くして発展してきたものだからです。
 赤々舎は世界に出ていこうというような意気込みからはむしろ遠いのですが、ただ当たり前のこととして、世界の何処ともここは地続きであると思い、一冊一冊を送り出していきたいと思います。


●生きている場所に息づく本を
 
 写真、写真と申し上げておりますが、本当に気がつけばそうなっていたという具合です。私はカメラを持っておらず、写真の教育を受けたこともありませんが、写真によって思いがけない処に出てしまい、その都度わけもわからず身を投じているような感覚があります。編集者やディレクターと呼ばれるような役割でもありますが、その呼び方を自分に関して避けてきたのは、私はあくまで媒体に過ぎないという思いからでした。ある写真が孕んでいる可能性が本という姿になるときの、透明な媒体として居合わせている、その位置は変わらないような気がします。
 これからは写真やアートを核にしつつも、自分がもともと魅了されていた詩歌やダンスなどと出会い直していけることも夢見ています。どれも書籍としては現実的な困難を伴う分野ですが、だからこそ冒険もあると信じたいのです。つい先頃、写真集や絵本の販売について、思いみることもなかったような提案を受ける機会がありました。それがどのように結実するかはまるでわからない段階ですが、そうした兆しを心から喜びたい気持ちです。世界との関わりの痕跡としてある写真、生と死の間に存在する写真であればこそ、いかなる枠や敷居も有することなく、私たちが生きている場所に本を息づかせたいと願っています。
 最後になりましたが、日頃よりお力をお貸しくださり指導してくださる皆様に心より御礼申し上げます。本日は、このような挨拶の場をお与えいただき、ありがとうございました。

(1月16 日、梓会出版文化賞贈呈式会場で受賞のスピーチから、ひめのきみ/株式会社赤々舎代表取締役


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魂の暗部を狙撃する 『WEB SNIPER』 special contentsにて、インベカヲリ★×大野左紀子 特別対談が掲載されております。

2時間以上に渡る対談の内容が、会話の息づかいを残してほとんどすべて掲載されている記事です。
(写真作品もインベさんが14枚、大野左紀子さんの過去作品写真が2枚掲載されています)

下記リンクより、WEB SNIPERページにとび、どうぞご一読ください。


 
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写真家・インベカヲリ★が10年にわたり独自の視点から撮り溜めてきた女性たちのポートレート。衝撃のデビュー作となった写真集『やっぱ月帰るわ、私。』(赤々舎)の発売を記念して、著書『アーティスト症候群』『「女」が邪魔をする』などで知られる大野左紀子さんとの特別対談をお届けします。



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インベカヲリ★さんは現在、〜3月19日 (水)まで、大阪ニコンサロンで展示も開催されています。


写真集『やっぱ月帰るわ、私。』はこちらからお買い求めいただけます。

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