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弊社刊行『溶け出す都市、空白の森』の金氏徹平さんが、シュウゴアーツで個展「フライド幽霊とボイルド空想」を開催されます。

金氏徹平さん(1978年生)は、イメージと物質の関係を強く意識し、フィクションとノンフィクション、非日常と日常の境界線の更新、 もしくはその無意味について、国内外で活発に制作、活動されている注目の現代美術作家です。

『フライド幽霊とボイルド空想』(たいへん興味深い展示タイトルです!)どうぞ足をお運びください。


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White Discharge (Built-up Objects #21)
2012, found object, resin, glue, 168x84x55cm
 
 
フィクションとノンフィクション、非日常と日常の境界線を更新する必要がある。 もしくはその無意味について。相変わらず僕の興味の対象はわからなさや不確かさであり、それをとらえようとするために、作ること、描くこと、それによって 生まれる新しい空間が現場になると思う。現場を隠したり、ずらしたりすることはしたくない。
金氏徹平
 
 
シュウゴアーツでは、金氏徹平個展「フライド幽霊とボイルド空想」を開催いたします。
今回の個展タイトルは、ともに実体のない物を調理方法でとらえているもので、"ゲゲゲの鬼太郎"に登場する 「人魂の天ぷら」と、小説の一ジャンルを言い表す「ハードボイルド」という言葉と関係している、と金氏は言います。
 
一昨年から昨年にかけての北京やシンガポールでの滞在制作を経て、都市が形成されていくこととその中で日々起 きる出来事、美術の新しい流れが生まれてくる状況、個人の創作活動、などの関係について考えたという金氏。さらにシンガポールではSTPI (Singapore Tyler Print Institute)に て版画(プリント)の技法に濃密に取り組んだことで、イメージと物質の関係をより強く意識するようになり、特にコラージュに対する考え方 が更新されたと言います。
 
今回の個展では、これらの新しい経験を踏まえて、特に昨年から取り組んでいる平面のGray Puddleを中心に、個人的な、もしくは共有されている、幻想や実体のない現象 (例 えば、ヤクザ映画の血、様々な漫画の物語から切り離された物のイメージ、漫画の制作に用いられる雰囲気や光や陰影や音や速度を現すスク リーントーン、形を成さない石膏、高速で流れ変化する風景、レンチキュラーの断片など)をモチーフにして、さらにそこに形や重さや生々しさや空間性を与えるような絵画や彫刻を発表致します。
 
今年9月には、シンガポールSTPIに て、昨年滞在制作した80数点の作品を展示する個展を予定しております。国内外に活発に活動する金氏の個展を、この機会にぜひご高覧下 さい。
 


会期

2014年3月20日(木) - 4月26日(土)

開廊時間

12:00 - 19:00

休 廊 日

日・月曜日、祝日

会場

ShugoArts シュウゴアーツ 東京都江東区清澄1-3-2 5階



作家プロフィール

1978年京都府生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科彫刻専攻修了。主な個展に、2013-14年Towering Something (Ullens Center for Contemporary Art、北京、その後K11、上海に巡回)、2011年Ghost in the City Lights(Eslite Gallery、台北)、POST-NOTHING(Roslyn Oxley9 Gallery、シドニー)、2010年Recent Works Post Something(シュウゴアーツ、東京)、2009年溶け出す都市、空白の森(横浜美術館、神奈川)、変成態-リアルな現代の物質性 vol.6 金氏徹平(ギャラリーαM、東京)など。主なグループ展に、2013六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために(森美術館、東京)、Re: Quest―Japanese Contemporary Art since the 1970s (Museum of Art, Seoul National University、ソウル)、2012年Sculpture by Other Means(One and J Gallery、ソウル)、 2011年Singapore Biennale(National Museum of Singapore、シンガポール)、世界制作の方法(国立国際美術館、大阪)、赤塚不二夫マンガ大学展(京都国際マ ンガミュージアム)、2009年Platform 2009 Project by Invited Curators(KIMUSAほか、ソウル)、2007年美麗新世界:当代日本視覚文化(北京、広州)など。 金氏徹平 Artist Page>>


お問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
 ShugoArts シュウゴアーツ 135-0024  東京都江東区清澄1-3-2 5階 
tel: 03-5621-6434 fax: 03-5621-6435 email: info@shugoarts.com URL: www.shugoarts.com twitter: https://twitter.com/ShugoArts/ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


金氏徹平『溶け出す都市、空白の森』はこちらからお求め頂けます  

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歴史が眠る闇を見つづけた力作 オサム•ジェームス•中川『GAMA CAVES』について、
文化人類学者の今福龍太先生が、月刊みすず2014年1・2月号(2013年読書アンケート) の中で、お書きになってくださいました。

「不可視の書物として。闇のなかで息を潜める、未来への霊的暗号として。」という一節にたいへん引き込まれる文章です。

今福先生のご好意により、下記に転載をさせて頂きます。ぜひ皆様もご一読ください。


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今福龍太(文化人類学者)

オサム•ジェームス•中川『GAMA CAVES』赤々舎
 
 沖縄のガマ(洞窟)の暗黒のなかに封印されていた時を、レンズが捕らえる光によって解放する稀有の試み。懐中電灯による数時間をかけた露光と、コンピューター上での色の再生に捧げられた数年の長い努力。風景の一瞬の切り取りではない、像を生み出すための主体的「歴史の厚みがすでにこれらの写真には刻まれている。それがガマに流された苦渋の歴史を分身のように呼び出す。仲里効が解説の文章でも示唆しているように、複製技術によってアウラを失ったはずの写真が、ふたたび一種の聖性をとりもどす端緒、いいかえれば「デジタル•アウラ」の創造にむけての第一歩が、ついにここにしるされた。私は、これらの洞窟の壁面の亀裂を、地面の意味あり気な窪みを、置き去られた遺物を、骨の破片を、ただひたすら食い入るように「読む」。文字以前の歴史の凝集体として「読み」つづける。写真というより、不可視の書物として。闇のなかで息を潜める、未来への霊的暗号として。(月刊みすず2014年1・2月号(2013年読書アンケート)より)

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深い闇に包まれ、地球の子宮の底でつづく対話。 
オサム・ジェームス・中川写真集『GAMA CAVES』はこちらからお買い求めいただけます。



現在発売中の週刊文春 3月20日 55週年記念号 池澤夏樹さんの<私の読書日記>にて、高橋宗正『津波、写真、それから』を取り上げて頂きました。

1ページ長の大きな記事で、過去との断絶に橋を架ける役に立つ写真について、

「実際、この本で海水をかぶった写真を見ていると、かつて幸福な時があり、それが失われたことがよくわかる。晴れ着の子供とケーキ。そういう写真を海水が浸食する。一枚の印画紙の受難がわかる。」

「これもまたぼくたちが津波体験の意味を体感する一つの回路なのだろう。」

と、写真と惑乱とともにある人の姿を書いてくださっています。

ぜひともご一読くださいませ。


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(週刊文春 3月20日 55週年記念号は、雪だるまの絵が表紙です。)



『津波、写真、それから』は書店さんなどでも好評発売中です。
こちらからもお買い求めいただけます。 

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3月22 (土) 15:00~より『津波、写真、それから』刊行記念 高橋宗正×内沼晋太郎「写真と本と。」トークイベントが開催されます。

津波に流された写真を洗浄し持ち主に返す活動に関わってきた高橋宗正と、本と人をつなぐ仕事をずっとされてきたブック・コーディネイターの内沼晋太郎さんによるトークです。
経験を形に残すこと、人、そのつながりについてなど『写真と本と。』というところから、どんなお話になるでしょうか。ぜひ足をお運びください。

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『津波、写真、それから』という本を作りました。津波に流された写真を洗浄し持ち主に返す活動に関わり、その後ダメージが酷く処分されそうになっていた写真を捨ててしまうのではなく国内外で展示し、寄付金を集めるプロジェクトにしていった経験をまとめたものです。写真と人を深くつなげるための本である、とも言えます。

同じ1980年生まれの内沼晋太郎さんは、ずっと本と人をつなぐ仕事をしてきた人です。

その内沼さんと一緒に、経験を本という形にして世の中に長く残していくことの意味についていくことについて話していきたいと思っています。
 
写真家 高橋宗正
 
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写真家の高橋宗正さんが、あの震災以降、もはや写真をほとんど撮らずに、写真を洗っている。そしてその洗った写真を、世界中で展示して回っている。そう知ったとき、たぶん彼は「これも写真家の仕事だ」と考えているのではないか、とぼくは思いました。
 
何度か聞いたことがあるのですが、彼は「写真とは何か」「写真家とは何か」ということについてよく考えていて、その喋る言葉は、震災以前から、様々な示唆に富んでいました。
 
建築家には「アンビルド」と呼ばれる「建たない」建築を提案し続ける人がいます。彼はこの3年間、ほとんど「撮らない」写真家でした。震災からその時期を経て、彼の写真観がどう変わったのか、それをなぜ今あえて「高橋宗正」の名で「写真集」という形にしたのかということについて、じっくり聞いてみたいと思います。
 
ブック・コーディネイター 内沼晋太郎

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主催 本屋B&B

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日時

2014年3月22 (土) 15:00~17:00 (14:30開場)

料金


前売/席確保(1500yen+500yen/1drink)
当日支払(1500yen+500yen/1drink)


予約方法


本屋B&Bさんのサイトからご予約頂けます。イベントへのご参加の前に必ずこちらをご確認ください。*本屋B&B HP内のページへ遷移します*

会場


本屋B&B 東京都世田谷区北沢2-12-4  第2マツヤビル2F




本屋B&B店内にて、ミニ写真展
LOST AND FOUND PROJECT in B&Bを開催中です。あわせてご覧ください。



本日は共同通信さんの取材がございました。こちらも3月20日以降に掲載がありますので宜しくお願い致します。






『津波、写真、それから』はこちらからお買い求めいただけます。 

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3月7日の東京新聞夕刊の一面( ! )に『津波、写真、それから--LOST&FOUND PROJECT』の高橋宗正の記事が掲載されました。
文化部記者である森本智之さんが、3年目の3•11を前に、人の生に添うように書いて下さったとても丁寧な記事です。

<写真を見つけるということは生きた過去を取り戻すってことでもあるけれど、死んでしまって戻らない人がいるということを突きつけてしまうことでもあった>高橋宗正

<ある日、人は死ぬ。もう話すことはできないし、ありがとうを言うことも喧嘩をすることも謝ることも何もできなくなる。それが寂しくて悲しくて、別れるのも忘れるのも嫌で、少しでも距離が離れるのを遅らせるために人は何度も写真を見て思い出す。何度も何度も見ているうちに、やがてその不在に慣れ、ちゃんと別れられるようになっていく>高橋宗正

こちらのブログを書いている本日3月11日に気持ち迫る言葉をたいへん丁寧にすくい上げて頂いています。

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また3月9日の  THE JAPAN TIMESでも、世界各国を展示でまわったことなどに触れて頂きながら、大きくご紹介を頂きました。

『津波、写真、それから--LOST&FOUND PROJECT』も全編 日英併記でお読み頂ける本ですので、宜しくお願い致します。

明日3/12(水)は、TOKYO FM クロノスにも出演予定(8:30前後予定)です。
ぜひお聞きください! 




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