Blog

各方面で話題を呼んでいるインベカヲリ★さんの写真展が場所を変え、東京で再び開催されます。アメリカ橋ギャラリー(恵比寿)では、2年ぶり3回目の写真展。ぜひご来場くださいませ!

54「我、女なり。」.jpg


インベカヲリ★ 写真展「理想の猫じゃない」


会期:2019年2月13日 (水) ー 2月25日 (月)
時間:11:00 ー 19:00  (初日14:00〜、最終日17:00まで)*会期中無休



人の頭の中を覗いてみたいという欲望がある。人は見た目だけではわからない。特に女性の場合、表の姿がごく健全で今風であれば、どこにでもいる人に見えてしまう。しかしその裏で、まったく想像もできないような背景や考えをもっていたりする。
写真に写るということも一つの表現行為だから、何か言いたいことをもっている女性は多いと思う。人生の変わり目だったり、問題が起きている真っ最中だったり、解決しない悩みを抱えていたりなど、心が揺さぶられているときに私の前に現れる。たとえマイナス面であったとしても表現したいという感性は女性特有だと思う。私が女性だけを撮るのも、そこが魅力だからに他ならない。
タイトルの「理想の猫じゃない」は、ある事件の犯人の台詞だ。2017年10月、北九州で当時高校の臨時教職員をしていた男が、飼い猫を次々に殺し、計20匹を燃えるゴミとして捨てていたため動物愛護法違反容疑で書類送検された。犯行動機について男は「理想の猫じゃないから殺した」と主張、「呼んだらすぐにやってきて、体を触らせて、きちんとトイレをするのが理想の猫だ」と供述した。
この台詞を聞いたとき、私はなんともいえない衝撃を受けた。学校教育そのものだと思ったし、社会の本質を一言でよく表しているとも思った。しかも学校の先生というところが、まるでブラックジョークのようだ。
言うまでもなく犯人は、犬の性質を猫に求めている。自由気ままな猫に対し、従順さを求めること自体に無理がある。「理想の猫」など猫界にはなから存在しないのだ。
しかし人間にとっては、他人が求める理想を演じているほうが、自分を貫くよりもはるかに容易い。世間は「理想の猫」に擬態した人で溢れている。どう頑張っても「理想の猫」になれなかったとき、あるいは「理想の猫」からの脱出を試みたとき、人は社会に殺されるリスクを背負うことになる。
「理想の猫」は、生まれ育った家庭それぞれにもあるし、教育、文化、性別、時代によっても存在する。企業に入れば、その組織における「理想の猫」になる必要がある。直接的に言われなくても、広告や商品やすれちがう通行人との比較で「あなたは理想の猫じゃない」というメッセージを受け取ってしまう。人と人が関係すれば、そこには必ず「理想の猫」が発生する。
けれど一方で「理想の猫」という基準をもとに、人は自分という存在を考えるのかもしれない。自分はどうしたいのか、何をすれば幸福感を得られるのか、人生における役割とは何か。考えることで言葉をもち始める。
日々、情報を浴びる生活の中で、自分が本当に考えていることを探し出すのは至難のわざだ。うっかりすると、どこかで聞いたことがある台詞を自分で考えたことのように話してしまう。逆に、簡単には言葉にできないほどの感情は、凄まじいリアリティをもって心に響く。それは、私が女性たちから話を聞いていて感じることだ。向かい合って対話を続けているうち、独特な表現や価値観がふいに飛び出し、個人の存在が生々しく浮かび上がってくる瞬間というのがある。一人ひとりは、こんなにも多様なのかと感動する瞬間がある。だから人間は面白く、写真の中で存在感を放つのだと思う。


アメリカ橋ギャラリー(東京都渋谷区恵比寿南 1-22-3)




写真家の齋藤陽道さんが、2011年に刊行された写真集『感動』から約120点を一堂に展示する「感動、」を2019年1月19日より開催されます。
3月9日(土)14:00〜は小社姫野とのトークも。写真としても、作家自身の生き方の現れとしても深化する感動。ぜひご来場くださいませ!


picture_pc_4e09c410ebebe71855114267ef033d74.jpg



会期:2019年1月19日(土)〜 3月30日(土)※ 日曜は閉室。祝日は開室。

時間:9:30〜17:30   ※ 1月30日(水)、2月8日(金)は21:30まで

会場:東京都人権プラザ 1階 企画展示室(東京都港区芝2-5-6 芝256スクエアビル1階)

入場:無料



関連企画



------(1)トーク「手話と写真に生きる者として」

2019年1月30日(水)19:00〜21:00
米内山明宏(俳優、日本ろう者劇団顧問)× 齋藤陽道

手話と写真に出会い、補聴器を外して生きることを決意した齋藤。NHK「みんなの手話」元講師で演劇、映画など、表現者として多面的な活動を続ける米内山。ろう者として生きることの価値と意味について対話する。


------(2)トーク「ことばの起源へ」

2019年2月8日(金)19:00〜21:00
酒井邦嘉(言語脳科学者、東京大学大学院教授)× 齋藤陽道

世界を豊かに捉えることばと、人を傷つける偏見に満ちたことば。言葉とこころと脳の関係を紐解く脳科学者と、ろう者として存在の声を探る写真家がことばの起源を探る。



------(3)トーク「写真集『感動』が顕わにする世界の姿」

2019年3月9日(土)14:00〜16:00
姫野希美(赤々舎・ディレクター)× 齋藤陽道

『感動』の版元であり、数々の写真集を世に送り出してきた、日本を代表する写真集出版社・赤々舎の姫野とともに、『感動』が顕わにする世界の姿を読み解く。



------(4)トーク「詩の生まれるところ」& ワークショップ「幻聴妄想かるた−遊ぶ・語る・作る」

2019年3月23日(土)14:00〜16:30
益山弘太郎(詩人)× 齋藤陽道
就労継続支援B型事業所「ハーモニー」の皆さん


幻聴、妄想、そして詩。何が異なり、何が同じなのか。統合失調症を生きる詩人と写真家。往復書簡を続ける二人の対話。後半(15:00〜)は「幻聴妄想かるた」で遊んだり、自分でも作ったりしながら、心というものの不思議さや、そのトラブルについて思いを巡らせるワークショップの二部構成。


上記関連企画共通

会場 東京都人権プラザ セミナールーム
定員 80名(申込み不要、当日先着順)
参加費 無料



齋藤 陽道(さいとう はるみち)


1983年、東京都生まれ。写真家。都立石神井ろう学校卒業。2010年、第33回キャノン写真新世紀優秀賞受賞。2013年、ワタリウム美術館にて大規模個展「宝箱」を開催。2015年、3331ArtsChiyodaで「なにものか」を開催。主な写真集・著作に『感動』『宝箱』『写訳 春と修羅』など。2018年に『声めぐり』『異なり記念日』を同時刊行


齋藤陽道さんインタビュー記事


東京都人権プラザ 





齋藤陽道写真集『感動』はこちら
kandou_cover.jpg


2018年も残り少なくなってきました。
赤々舎では、下記のスケジュールで年末・年始のお休みを頂戴いたします。
大変ご迷惑をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

2018年12月29日(土) ~ 2019年1月6日(日)

メールでいただきましたご注文、お問い合わせにつきましては、
2019年1月7日(月)以降に順次対応させていただきますので、ご了承の程、お願いいたします。


2018年9月末に発売され、ご好評を頂き瞬く間に品切れとなっていた『MASAHISA FUKASE』のご予約購入を本日再開致しました。
現在、第二版を印刷中で、2019年1月11日以降のお届けを予定しております。

オランダのFOAM 写真美術館や、「KYOTOGRAPHIE」(京都国際写真祭) の特別展「TOKYOGRAPHIE」のオープニングプログラムとして3年ぶりの東京展「総天然色的遊戯」が大きな話題をよんだ深瀬昌久。
その40年間に及ぶキャリアを俯瞰し、写真表現の全貌を初めて浮き彫りにする大冊です。

Aperture社とParis Photo主催「The 2018 PhotoBook Awards」の「PhotoBook of the Year」にも最終ノミネートされた話題の一冊、ぜひお手にお取りくださいませ!


F000.jpg F021.jpg

『MASAHISA FUKASE』(* 2019年1月11日以降発送の予約購入、国内送料無料、赤々舎もう一冊付き


 監修/本文 : トモ・コスガ
    序文 : サイモン・ベーカー
 発行:赤々舎

 サイズ:195mm × 260mm ×45 mm 
 ページ数:416 pages
 布張り上製本 
 ISBN: 978-4-86541-084-6


       
  


石川竜一さんが、2019年1月12日~兵庫県立美術館にて開催される「Oh! マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー & ピーポー」展に参加されます。

「ヒーロー」と、英語の「people」からきている「ピーポー」。特別な存在と無名の人々という対照的な人間のあり方に注目する本展では、平成の最後を飾る展覧会として、日本全国から集められた約400点の作品・資料も展示。絵画や写真とともに、紙芝居やアニメ、特撮と、大衆的なジャンル・ メディアに登場した作品にまつわる貴重な資料の数々も会場に並びます。
 
1「集団行為 陶酔と閉塞」、2「奇妙な姿 制服と仮面」、3「特別な場所 聖地と生地」、4「戦争 悲劇と寓話」、5「日常生活 私と私たち」に続く、セクション6「私たちの時代の表現」に、石川竜一さんは新作も含めて発表、今回、映像作品も出展される予定です。会田誠さん、しりあがり寿さん、柳瀬安里さんらの作品も同セクションに並びます。ぜひご来場くださいませ!


ryuichi_hyogo.png
    ©️Ryuichi Ishikawa 2018        

兵庫県立美術館 特別展  
Oh! マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー & ピーポー


会期:2019年1月12日~3月17日
時間:10:00~18:00(金土〜20:00)
休館:月曜日(2019年1月14日、2月11日は開館)、2019年1月15日、2月12日
会場:兵庫県立美術館(兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)


hyogo.png



兵庫県立美術館(兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1) 阪神本線岩屋駅徒歩8分

<< Previouse 1234567891011