Publishing



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 木村和平『あたらしい窓 』
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  Book Design:須山悠里 
  発行:赤々舎

  Size: 255mm × 180mm
  Page:120 pages
  Binding:Hardcover

  Published in Dec 2020
  ISBN
978-4-86541-129-4



¥ 4,200+tax 

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About Book


距離と関わりの、未知の窓へ


木村和平はこれまでに、『piano』『楽譜』(共に私家版)、『袖幕』『灯台』(共にaptp)と4冊の写真集を発表してきた。
被写体や、カラー、モノクロなど手法の違いはあっても、反応する光の独自性と、感官を交差させて生み出すイメージは、たしかな印象を刻んできた。

そして2020年、写真集『あたらしい窓』において、木村は「近い存在であるはずのひと」や風景を撮りながら、そこに生じる距離を新たに映し出している。
「誰とも似つかないひと」と出会い、向き合うなかで、避けては通れない状況や瞬間。それを見つづける視点。
撮ることが奪うことではなく、日々の記録でもなく、親愛が生み出す距離のその寂しさと眩しさこそが静かに焼き付けられている。
対象となるひとやもの、そしてその瞬間への敬意とも思える距離のなかに、またとない光と影は編まれた。

写真という窓を通して見ること。そして写真がつなぐこと。隔たりであり、同時に関わりである窓を挟んで、相手も自分も常にあたらしい存在となる。
そして、この写真集そのものも、見るひとに手向けられた、近しいはずの「あたらしい窓」に違いない。




" 近い存在であるはずのひとが、動物が、風景が、ふいに遠く感じることがある。それは寂しさや不確かさ、そして触れがたさとなって、短い風のように目の前に現れる。いくら被写体とカメラの距離が近くても、ひとがこちらに笑いかけていても、遠いときはとことん遠い。間に窓があるみたいに、見えるのに触れない。
 写真はそれらを静かに、そして鮮明に提示してくれるものだが、理解につながるかは別の話だ。わからないことをわからないままにできるとき、私はとても落ち着いている。
 これはなにも暗い話ではない。もちろん悲しくもあるけれど、親愛のなかにある距離を、どこか眩しく思う。
(中略)


 幼い頃の体験や、いまも進んでいる生活に私はおおきな関心と執着がある。前者は独自のアルバムであり、後者は他の誰でもなく、自ら選んで作っていくものだ。住む場所、食事、服装、そして関わる人々までも、自分で決めていい。知らない駅で降りてもいいし、猫と踊ったって構わない。
 数々の体験と選択が、誰とも似つかないひとを形成していく。それぞれにオリジナルのエピソードがあり、その手触りが宿っている服や映画、そして音楽に感銘を受けてきた。それらはごく個人的なものごとを出発点にしながら、受け取るひとが自分のことのように思えるしなやかさと、そこから未知の眺めへとひらいていく豊かさを併せ持っている。私はそれを、写真でやりたい。"

(木村和平『あたらしい窓』あとがき より) 



The Other Side of the Window 

Kazuhei Kimura


A dear person, animal, or a familiar view sometimes feels very distant. It's a sense of uncertainty and inviolability that suddenly strikes me like a gust of wind. When it happens, the object is really distant, no matter how close it is to my lens, or even if it smiles at me. I can see it but I can't touch it, as if there is a wall of glass between us. Photography reveals the existence of this glass, albeit quietly. But whether I grasp its nature or not is a whole other question. I can stay tranquil as long as I leave incomprehensibility as it is. This is not a depressive account. It is sad, but there is also a certain brightness in the distances of intimacy.


I don't always have my camera with me, nor do I intentionally go out to "take pictures". Instead, I spend most of my days not taking any photos at all. Most of the pictures in this book were taken before 2018. There are much fewer photos from the middle of 2019 onwards, and there were several reasons for that. I didn't feel like taking photos, or couldn't spare time for it, or the photography didn't seem to fit personal relations. I approve of the days when I didn't take pictures. Sometimes, the moment is gone before you can pick up a camera. That being said, it's not that photography isn't a core part of my life. I'd be incapacitated without my camera!


What did I want to do with this book, I wonder? It's certainly not to keep myself always on the lookout to capture a particular moment, nor to create a setting for ideal pictures. I'm not eagerly pursuing a totally new mode of expression either. I react to scenes which I unavoidably come across in everyday life, such as communicating with others, time that doesn't seem to move, a shadow that sways, or a ray of frozen light. I fix my eyes on them and release the shutter. Is it a record of life? Maybe not.


I feel great interest in and attachment to my childhood memories, as well as the everyday life that I'm living. The former makes a unique album, whereas the latter is for an album-to-be, for which I'm in charge of selecting everything. I choose where to live, what to eat, how to wear and whom to get along with. I could get off the train at an unfamiliar station. I could dance with cats.


Countless choices and experiences create a particular person, one who resembles no one else. Everyone has a collection of unique episodes, and I've been deeply moved by the texture of such episodes that live on in artistic productions such as clothes, movies and music. Although private in origin, they are pliable, they have a certain transferability. The good productions strike a chord in us and show us a vision of the unknown. That is what I want to do with photography.





関連写真展



木村和平 写真展「あたらしい窓」


会期:2020年12月12日(土)〜12月27日(日) 
時間:12:00~19:00(水曜定休) 
会場:BOOK AND SONS(東急東横線 学芸大学駅 徒歩約3分 )
入場無料



木村和平 写真展「The Other Side of the Window」

会期:2020年12月10日(木)〜2021年1月18日(月)  
時間:12:00~20:00(火曜、水曜定休) 

※年末年始休業 12月27日(日)〜2021年1月6日(水)
年始の営業は2021年1月7日(木)から 

会場:book obscura(JR・京王井之頭線「吉祥寺駅」から徒歩10
入場無料







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Artist Information 



木村 和平 きむら・かずへい)

1993年、福島県いわき市生まれ。東京都在住。

[受賞]
2018 第19回写真 1_WALL 審査員奨励賞 (姫野希美選)
2020 IMA next ♯6 グランプリ

[個展]
2015 「piano」gallery SEPTIMA (東京)
2019 「袖幕/灯台」B gallery (東京)

[出版]
2018 「袖幕」aptp
2019 「灯台」aptp


Kazuhei Kimura

Born in Iwaki City, Fukushima in 1993. Currently resides in Tokyo.


[Awards]

2018 The 19th Photography 1_WALL, encouragement award

2020 IMA next #6, Grand Prix.


[Solo Exhibitions]

2015 「piano」gallery SEPTIMA (Tokyo)

2019 「wing curtain/lighthouse」B gallery (Tokyo)


[Publications]

2018 "wing curtain" aptp

2019 "lighthouse" aptp

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 山崎美弥子『ゴールドはパープルを愛してる』   
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  Book Design:鳥沢智沙(sunshine bird graphic) 
  発行:赤々舎

  Size: 169mm × 169mm
  Page:128 pages
  Binding:Hardcover

  Published in Dec 2020
  ISBN
978-4-86541-127-0



¥ 3,800+tax 

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About Book


千年後の未来の風景。あなたの愛はなくならない。


アーティスト・山崎美弥子がキャンバスに描く「千年後の未来」は、作家本人が幼少期に体験し垣間見た世界であり、それは彼女が絵を描く上での永遠のテーマでもあります。

愛に満たされたそのときの世界の光をもう一度眼差そうとする旅を続け、あるとき、願いに導かれるようにして山崎がたどり着いたのは、ハワイのモロカイ島でした。
そこでの彼女の暮らしと制作は、千年後からさかのぼった「過去としての今」におけるのもの。天国131番地と呼ばれる、水平線が見渡せる高台の家でカンバスの前に彼女が立つ時、永遠に消えない一色(ひといろ)をのせた絵筆のストロークは、一筋の流星のように通り過ぎます。

海と空、花、虹などの絵の作品を集めた作家のインスタグラムの画像と写真を連動させた全128 ページにわたるこの作品集は、鑑賞する方が時空を越えた千年後の世界に誘われるようであるのと同時に、その色彩豊かに広がる世界が、目の前のやさしい風景と滲みゆく、かけがえのない一瞬を捉えたものです。
それは、生きとし生けるものたちが、時空を超えてふたたび出逢う未来を、ひとときの安らぎと共に私たちに想像させてくれることでしょう。
作家が「窓のようなものである」とも語るカンバス、そして写真を通して、「千年後の未来」を光のように集めた本作は、常に持ち歩きたくなるような、また、ふとしたときに眺めたくなる、ギフトにもぴったりの宝物のような一冊です。




"かつての少女は旅に出た。もう一度見つけるために。確かめるために。舟を漕ぎ出し、海の真ん中のどこかにある小さな島に住み着いた。島のおもかげは、あの風景に似ていた。 あの日の窓みたいなカンバスに、永遠に消えない一色(ひといろ)をのせた絵筆のストロークだけが通り過ぎる。一筋の流星のように。"

 "終わりも無く続く、海と空のグラデーション。目前で煌めくゴールドは、滲みゆくパープルを包み込む。ゴールドはパープルを愛してる。
(山崎美弥子) 






関連展覧会


"Gold Loves Purple - future landscape one thousand years later -"
「ゴールドはパープルを愛してる ‒ 千年後の未来の風景 ‒」

会期:2020年11月25日(水)〜12月25日(金)

※伊勢丹新宿店の営業時間に準ずる

会場:伊勢丹新宿店メンズ館 2階 メンズクリエーターズ内

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Artist Information 


山崎 美弥子 (やまざき・みやこ)

1969 年東京生まれ。多摩美術大学絵画科卒業。東京を拠点として国内外で作品を発表。一転し、2004年から太平洋で船上生活を始める。現在は人口わずか七千人のハワイの離島モロカイに在住。天国131番地と呼ばれる水平線が見渡せる高台の家で、米国人心理学者の夫と二人の娘と暮らす。千年後の未来の風景をカンバスに描き、日々の中で、懐かしいその未来の面影を探しながらアイフォンで撮影している。

 instagram: @miyakoyamazaki 



 過去の主な出版物 

「モロカイ島の日々」(リトルモア)
「モロカイ島の贈り物」(産業編集センター)
「Love Speaks」(光琳社)
「Heavenly Brights」( ニュースベース)


主な個展・グループ展 

1999年「Love'n pieces」ワタリウム美術館 ON SUNDAYS(青山)
2001年「海と空の結婚パーティー」HIROMI YOSHII(横浜)
2002年「LAND」ゼロ・ワン・プロジェクツ(ロサンゼルス)
2003年「GIRL!GIRL!GIRL!」東京オぺラシティアートギャラリー(初台) 
2004 年「カフェ・イン・水戸 2004」水戸芸術館(水戸)
2013年「RETROSPECTIVE」モロカイ・アート・センター(ハワイ)
2019年「Special Days」丸山邸 /KEITA MARUYAMA(青山)
他多数



Miyako Yamazaki /Artist


Born in 1969 in Tokyo, Japan. Graduated from the Painting Department of Tama Art University. Based in Tokyo, she has exhibited her works in Japan and abroad. In 2004 , she began living on a boat in the Pacific Ocean, and now lives on Molokai, a remote Hawaiian island with a population of only 7,000 . She lives in a house on a hilltop called Heaven at 131 with her husband, an American psychologist, and their two daughters. She photographs her daily life with her IPhone while painting a canvas of a future landscape of thousand years later.



Past Major Publications

Molokai Days(Little More)
The Gift from Molokai(Sangyo Hensyu Center)
Love Speaks(Korinsha)
Heavenly Brights(Newsbase)


Solo and Group Exhibitions

1999 "Love'n pieces" WATARI-UMuseum ON SUNDAYS (Aoyama)
2001 "Wedding Party of Ocean and Sky" HIROMI YOSHII (Yokohama)
2002 "LAND" Zero One Projects (Los Angeles)
2003 "GIRL! GIRL!GIRL!" at Tokyo Opera City Art Gallery (Hatsudai)
2004 "Cafe In Mito 2004 " Art Tower Mito (Mito)
2013 "RETROSPECTIVE" Molokai Art Center (Hawai'i)
2019 "Special Days" MAISON de MARUYAMA/KEITA MARUYAMA,(Aoyama)

many others




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 三宅章介『Typology for Traces of Gable Roofs
切妻屋根の痕跡のための類型学


  Book Design:三宅章介 
  発行:赤々舎

  Size: 182 mm × 257 mm
  Page:128 pages
  Binding:Softcover

  Published in Dec 2020 
  ISBN
978-4-86541-121-8



¥ 3,000+tax 

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About Book


京都の街並みに残る、取り壊された家屋の痕跡


古い家並みの残る京都にあっても、刻々と街は変容する。
京都在住の写真家・三宅章介は、日々、街を歩き、取り壊された家屋の痕跡に遭遇し、撮り続けてきた。
それは、隣接していた建物の外壁に刻印された、多くは切妻屋根の痕跡である。
家の輪郭を刻むもの、壁のトタンの表情を驚くほど変えるもの、なぜここに?と不思議な位置に窓が
出現するもの......。ひび割れ、煤けた色合い、周囲の看板など、ひとつとして同じものがない痕跡が、
かつてそこに在った人々の営みや、建物と建物との関わりを窺わせる。
その痕跡は時の流れと共に風化し、そこに新たな建物が建造されると人々の視界から消える。やがて隣接していた壁も解体され、人々の記憶から跡形なく消え去る。
ベッヒャーの類型学(タイポロジー)へのオマージュを込めて集積された写真群は、街歩きの貴重な
記録であるとともに、建築的観点からの発見や見ることの奥行きを呼び起こす。

寄稿:甲斐扶佐義(写真家、「八文字屋」店主)




京都の街を歩いていると、建物の外壁に取り壊された家屋の痕跡が残されている光景にでくわす。かつて、そこにあった人の営みを刻印した化石のようだ。痕跡は風雨にさらされ、時の流れのなかで磨耗していくだろう。新たな建物が建てば視界から消える。やがては痕跡を印した壁面も解体され、人々の記憶からも跡形なく消え去るにちがいない。

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。 
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、 
久しくとゞまることなし。 
世の中にある人とすみかと、またかくの如し。
「方丈記」

(三宅章介) 

Typology for Traces of Gable Roofs

Akiyoshi Miyake


When walking the streets of Kyoto I encounter tableaus where the traces of demolished old houses are left on the outer walls of the neighbouring property.

They have the appearance of fossils representing past human's lives. They are exposed to rain and wind, and will over time abrade away or disappear completely when a new building appears.

At some point, in the end, all these outer walls and such tableaus will be demolished, and disappear from our memories without a trace.


'The flow of the river is ceaseless and its water is never the same. 

The bubbles that float in the pools, now vanishing, now forming, are not of long duration: so in the world are man and his dwellings.'

Hojoki by Kamo no Chomei Donald Keene, translated, 1955, Anthology of Japanese Literature, New York Press 



 


Artist Information 


三宅 章介 (みやけ あきよし


1950年神戸生まれ、京都を拠点に活動。
1970年代よりギャラリー16 他で個展、グループ展多数開催。
2018年から2020年にかけて、個展「切妻屋根の痕跡のための類型学」「切妻屋根の痕跡のための類型学 」「切妻屋根の痕跡のための類型学 III /LIVE」を、Lumen gallery(京都)にて連続開催(KG+)。

受賞歴に、第5回プリンツ 21 グランプリ展 準グランプリ、98年 京都美術工芸展 優秀賞、99年 京展 京展賞、2000年 さっぽろ国際版画ビエンナーレ Q 氏賞などがある。



Akiyoshi Miyake


1950 Born in Kobe 1976 Completed the Department of Design, Kyoto City University of Arts


Solo exhibition

1974〜88  galerie 16(
kyoto) and others

2018 Typology for Traces of Gable RoofsLumen gallery(KG+)

2019 Typology for Traces of Gable Roofs Ⅱ」Lumen gallery(KG+)

2020 Typology for Traces of Gable Roofs III /LIVELumen gallery(KG+)


Group exhibition

1972, 89, 90, 95 OUR WORKS Exhibition 2017, 18, 19 Kyoto Photo Exhibition Open call for participants
1997 Osaka Triennale
1998, 99 Contemporary Japanese Art Exhibition 2000 International Print Triennial - Kraków 2001 Yoshihara Jira Award Art Competition

Award

1997 5th Prinz 21 Grand Prix Exhibition Semi- Grand Prix
1998 '98 Kyoto Art and Craft Exhibition Excellence Award
1999 Kyoto Exhibition Kyoto Exhibition Award 2000 Sapporo International Print Biennale Mr.Qing san




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 田川基成『見果てぬ海』
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  Book Design:須山悠里 
  発行:赤々舎

  Size: 237mm × 270mm
  Page:180 pages + 撮影ノート 12 pages
  Binding:Hardcover

  Published in Nov 2020
  ISBN
978-4-86541-125-6



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About Book


海の向こう側から、はじめて自分が育った島を見た。 故郷・長崎の海を巡る旅 写真家・田川基成が自身の故郷である長崎の海を旅して撮影した写真集。


数々の島と海辺を巡り、中判フィルムに収められた81点の風景やポートレート。 
海に生きる人々や、カトリック、かくれキリシタン、仏教、神道など土地に息づいた信仰。その営みや自然風景、故郷の島での生活を、船に乗り海を旅する視点を通し、アメリカン・ロードトリップの手法で一冊の写真集にまとめた。

かつてそこに存在した死者や、先祖たちの意思、土地の記憶。
15歳で故郷の島を離れてから、旅を続けてきた田川が、過去を振り返りながら目の前の海を見渡すとき、写真はその海に漂い土地に刻まれた記憶を呼び覚ます。

長崎の海や自身の人生について綴った「後記」と、被写体のインタビューやエッセイを別冊子にまとめた「撮影ノート」、計約1万9000文字の文章も収録。それぞれのページの写真とキャプションの関係性も含め、時間を読むような写真集。英訳付き。




"人生の半分を育った島から離れて暮らした。ちょうど三十歳を過ぎた頃だったろうか。 ふと故郷の海のことをもっと知りたくなった。 

私は長崎県西彼杵(にしそのぎ)半島の沖合に浮かぶ小さな島で育った。あたりの海域はリアス式の複雑に入り組んだ地形で、日本の中でもっとも離島が多い。そこは有人島が70あまり、無人島も含めると約600もの島々が点在する多島海だ。島の西の沖には、遠く五島列島が連なっている。幼い頃からその海の向こうを見続けてきた。 

島々は大陸に近く、古くから様々な人間や文化、宗教が海を越えて交わってきた。仏教は中国からもたらされ、神社も各地に存在する。大航海時代には、ポルトガル人やスペイン人がこの地にキリスト教を伝えた。そして、弾圧を生き延びたかくれキリシタンたち。この海では今もそうした信仰が混在し、共生する。人々は信じるものにかかわらず、同じその海で魚や鯨を獲り、急峻な土地を耕してきた。その営みの積層の上に、今の私たちは在る。 私は大人になったある日、はじめて目の前に広がる海を旅してみようと思った。" 
(田川基成) 




Across the Sea 

Motonari Tagawa


I left the island where I spent the first half of my life to live elsewhere. And then--I think it was just after I turned thirty--I decided one day that I wanted to know more about that ocean from my childhood.

The island where I grew up, Matsushima, is just off the coast of the Nishisonogi Peninsula in Nagasaki Prefecture. The region has gnarled ria coastlines, and more islands than anywhere else in Japan. Just over 70 of the islands are inhabited, but if you include the uninhabited ones there are some 600 islands dotting that sea. Sitting on a park bench on the west coast of Matsushima, you can look across at the Goto Islands in the distance. I've been staring at that sea since I was little.

Those islands are relatively close to the Chinese mainland, and since ancient times various peoples, cultures, and religions have arrived from across the sea. Buddhism came from China, but there are also Shinto shrines dotted here and there. During the Age of Discovery, the Portuguese and Spanish brought Christianity. And then came the Hidden Christians, who weathered oppression generation after generation. Even now those same faiths are still blended here, still co-exist around this ocean. The people, regardless of their beliefs, all practiced fishing or whaling in this same sea and cultivated those same steep terrain. Our lives here now rest on the backs of their toils. One day, after I became an adult, I decided for the first time to venture across that ocean spread out in front of me.

One windy winter morning, I set out on the ferry, and after changing boats several times, eventually reached an uninhabited island, one of the Goto islands. From the harbor, I walked around the coast and up a hill, and gazed out to the east. Sure enough, there beyond a sea slightly darkened by winter clouds was the island where I grew up. I was looking back from the other side of the sea I had always seen. It was a very odd sensation, like a parallel universe.





関連写真展



第20回(2018年度)三木淳賞受賞新作写真展 
田川 基成 写真展「見果てぬ海」」


会期:2020年11月17日(金)〜11月30日(月) 
時間:10:30~18:30(日休/最終日15時まで) 
会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY(新宿)
入場無料


巡回展

会期:2021年1月21日(木)〜1月27日(水) 
時間:10:30~18:30(日休/最終日15時まで) 
会場:ニコンプラザ大阪 THE GALLERY(梅田)
入場無料



 
【Other Exhibiton 】
田川基成写真展「Vernacular Churches」

会期:2020年10月29日(木)〜11月10日(火)
時間:12:00〜20:00(最終日〜17:00まで)水曜休廊
会場:Alt_Medium(東京 高田馬場)





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Artist Information 


田川 基成 (たがわ・もとなり)

1985年生まれ、長崎県の離島出身。北海道大学農学部森林科学科卒業。 東京で編集者、記者を経て2014年に独立。自身のルーツと暮らしてきた土地や旅の経験を通し、移民と文化、風景と記憶などをテーマに作品を制作する。千葉県に住むイスラム教徒のバングラデシュ移民家族の5年間を写した「ジャシム一家」 で第20回(2018 年)三木淳賞受賞。
日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』にて連載中。


写真集
2020年 『見果てぬ海』 赤々舎

個展
2018年 「ジャシム一家」 新宿/大阪 ニコンプラザ THE GALLERY
2018年 「ジャシム一家」 札幌市教育文化会館
2017年 「ジャシム一家」 銀座/大阪ニコンサロン

グループ展
2016年 「Photobook as Object」展 Reminders Photography Stronghold (墨田区、東京)
2016年 「Between The Rivers」 東川国際写真フェスティバル




Motonari Tagawa


Born in Nagasaki, Japan in 1985.

After studying Forest Science at Hokkaido University, Tagawa worked as an editor and a reporter for four years in Tokyo before becoming an independent photographer in 2014.

His work focuses on his interest in immigrants and culture, and on landscapes and memories. He won the Miki Jun Award in 2018 for his debut work Jashim Family, a photo documentary covering five years in the life of a Muslim family of Bangladeshi immigrants living in Chiba prefecture, Japan.




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 古賀絵里子『BELL』
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  Book Design:大西正一 
  発行:赤々舎

  Size: 220mm × 250mm
  Page:160 pages
  Binding:Hardtcover

  Published in Nov 2020
  ISBN
978-4-86541-124-9



¥ 6,000+tax 

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About Book


人間の業そのものの肯定とともに、解き放たれた自由な生き方を希求する

伝説に身をもって分け入り、足元に芽吹く新たな可能性を見出す写真集



『BELL』はこれまで「日常の中にある普遍的なもの」に惹かれ写真に託してきた古賀絵里子が、平安時代に成立した伝説「安珍清姫物語」とその後日談に着想を得て、制作したシリーズです。日本で最もよく知られる伝説のひとつであるこの物語は、古賀が現在生活する空間と関わりをもち、そのことが契機のひとつとなりました。

「安珍清姫物語」は、僧侶・安珍と 若い女性・清姫の激しくも哀しい恋の物語。安珍に恋をした清姫が裏切られ、逃げる安珍を追いかけるうちに、怒りで蛇身となりました。 道成寺の鐘の中に匿われた安珍を見つけた蛇は、鐘に巻きつき炎を吐いて、鐘もろとも焼き尽くします。その両眼からは血の涙を流し、ついには入水したのでした。 その後、住職に供養された二人は成仏し、 天人になったと伝えられています。
この物語は、能楽や人形浄瑠璃、歌舞伎や日舞などの伝統芸能にとどまらず、絵画や小説、舞台や映画などにも登場し、千年以上もの間、受容と表現の幅を広げながら観るものを魅了し続けてきました。 そしてこの伝説ゆかりの鐘は、いま古賀が暮らす京都の寺にあります。

『BELL』は、「安珍清姫物語」において女性が負わされた悲しみや秘められた強さを、現代を生きる私たちの中に掘り下げながら撮影されました。やがて「誰もが安珍であり、誰もが清姫である」という視点から、性別を超えた人の情動や移ろい、社会との摩擦を掬いとっていきます。
執心と怒りに燃えて安珍を追いかけるうちに「般若」となり、さらには「真蛇」となった清姫の姿は、日常生活を営むなかで口に出せない悲しみや苦しみ、怒りを抱えている人の姿と重なり、八百屋や商店街、河原などの日常が舞台として現れます。
本作で、古賀は初めて演出的な設定や、ストロボや赤外線カメラを用いた撮影など自在に手法を広げ、幾つもの時空間、幾つもの心を行き来するようにして構成を編み上げていきました。
そして創作と生活の狭間で、作品を生み出す葛藤を初めて経験することにもなった古賀は、その葛藤が自分や他者により深く向き合うための扉となり、これまであまり描いてこなかった「性」や、記憶に埋もれていた過去の自分とも向き合うことを果たしたのです。

伝説に身をもって分け入り、目のまえの家族や生活を見つめることによって生まれた『BELL』。
伝説の鐘は、新たな予兆や祝福の響きとしても捉えられることになりました。
「誰もが安珍であり、誰もが清姫である」─人間の業そのものの肯定とともに、古賀が、解き放たれた自由な生き方を希求し、足元に芽吹く新たな可能性を見出した作品です。




BELL

Eriko Koga

The legend of Anchin and Kiyohime is one of the most widely known folktales in Japan since the ancient times, Originated over a thousand years ago, it is a tragic love story of a Buddhist monk. Anchin, and a young woman, Kiyohime. Kiyohime falls in love with Anchin, but he betrays and evades her in order to stick to his ascetic practice. Refusing to lot go of him, Kiyohime chases after the fleeing monk, and transforms into a giant wrathful serpent along the way.
When she finds Anchin hiding inside a large bell at Dojoji temple, she wraps her body around the bell. spits fire, and incinerates the bell along with Anchin.
Devastated, Kiyohime throws herself into a river not long after her ophidian eyes streamed tears of blood.
The priest of the temple where this tragedy took place later chanted the Lotus Sutra in prayer for the salvation of these two souls, and it is told that they are both in heaven.

Through the themes of love, betrayal, obsession and despair, on top of the primal concepts of life and death, the tale emanates a compelling, universal message that appeals to audiences in any period of time. I found this legend and its sequels to be deeply moving, inspiring me to create a body of work titled BELL from 2018 to 2020.
Photographing this series was a personal journey of delving deep into ourselves living our modern lives, in order to capture a present-day interpretation of the pain and sadness that women were forced to bear as well as their inner strengths. Through an internal dialogue with the legend and an open but intimate observation of my family and our life together, I found myself yearning for a free, unbridled way of life, and in the process caught sight of new possibilities sprouting at our feet.





関連写真展



古賀絵里子 個展「BELL」 



会期:2020年10月23日(金)〜11月16日(月) 
時間:10:30~18:30(日休/最終日15時まで) 
会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY(新宿)
入場無料


巡回展

会期:2020年11月26日(金)〜11月16日(月) 
時間:10:30~18:30(日休/最終日15時まで) 
会場:ニコンプラザ大阪 THE GALLERY(梅田)


同時開催

DELTA 
会期:2020年10月23日(金)〜 11月17日(火)
時間:9:00〜18:00(水木休み)
会場:DELTA(KYOTOGRAPHIE パーマメント スペース/京都市上京区桝形通寺町東入三栄町62)
 

 
【Other Exhibiton 】

古賀絵里子・鈴木理策 写真展「高野山・熊野」

会期:2020年11月6日(金)~11月12日(木)
時間:10:00~19:00(最終日16:00まで/入館は終了10分前まで)会期中無休
会場:富士フイルムフォトサロン 東京(六本木 ミッドタウン)







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Artist Information 


古賀絵里子


写真家。1980年福岡市生まれ。上智大学フランス文学科卒業、
第20期写真ワークショップ・コルプス修了。
主な著書に、写真集『浅草善哉』(青幻舎 2011)、『一山』( 赤々舎 2015)、『TRYADHVAN』(赤々舎 2016)などがある。
フォト・ドキュメンタリー「NIPPON」(2004)、 さがみはら写真新人奨励賞(2012)、「KG + AWARD」グランプリ(2015)、 Prix Virginia Jury's Choice(2018)ほか多数受賞。
国内外のギャラリー・美術館・写真祭にて、 個展やグループ展を開催。フランス国立図書館・清里フォトアートミュージアムに作品収蔵。京都市在住。


Eriko Koga


Eriko Koga is a photographer who has shown in various solo and group exhibitions both at home and abroad.

Her works are featured in the permanent collections of the Kiyosato Museum of Photographic Arts and Bibliothèque nationale de France. 

Photobooks by Koga include Asakusa Zenzai
(Seigensha Art Publishing, 2011), Issan (AKAAKA Art Publishing, 2015) and Tryadhvan (AKAAKA Art Publishing, 2016). 

Koga has received numerous awards, notably the Photo Documentary Nippon Award in 2004, the Photo City Sagamihara Festival's Newcomer Award in 2012, the KG + Award in 2015 and the Prix Virginia's Jury's Choice prize in 2018. 

Born in Fukuoka in 1980, Koga graduated from the Department of French Literature in Sophia University. In 2002, she attended the 20th annual photography workshop Corpus.Koga currently lives in Kyoto with her family. 


【Publications】

2016 "TRYADHVAN" (AKAAKA) 

2015 "Issan" (AKAAKA) 

2011 "Asakusa Zenzai" (SEIGENSHA) 



【Awards】

2018 "Jury's Choice", Prix Virginia Award

2017 "Sankei Children's Book Award" Grand Prix

2015 "KG+AWARD by GRAND MARBLE" Grand Prix

"Child welfare Cultural Award", Foundation for Promoting Sound Growth of Children

2014 "Nikkei NATIONAL GEOGRAPHIC Photo Award "

2012 "Asakusa Zenzai" Sagamihara Photo City Prize for Newcomer Professionals

2004 "Photo Documentary 'Nippon' 2004" awards, Guardian Garden


Solo Exhibitions

2018 "Life Live Love" Irie Taikichi Memorial Museum of Photography, Nara

(Two person exhibition with Keiko Nomura)

2017 "Asakusa Zenzai and Issan" ESPACE KUU(Taisho University), Tokyo

"TRYADHVAN" LE MOUTON NOIR, Poitiers in France

2016 "TRYADHVAN" Emon Photo Gallery, Tokyo

2015 "Issan" Myoman-ji Temple, Kyoto  "Issan" Emon Photo Gallery, Tokyo

2013 "Issan" Emon Photo Gallery, Tokyo

2012 "Asakusa Zenzai" Emon Photo Gallery, Tokyo

2010 "Asakusa Zenzai" Solaria Park Side Gallery, Fukuoka

2008 "Asakusa Zenzai" Emon Photo Gallery, Tokyo

2004 "Asakusa Zenzai" Guardian Garden, Tokyo


Group Exhibitions

2016 "KYOTOGRAPHIE 2016" Kyoto, Japan

"Festival Photo La Gacilly 2016" France

"TBILISI PHOTO FESTIVAL 2016" Georgia

"LIANZHOU PHOTO 2016" China

2015 "KG+AWARD by GRAND MARBLE 2015 TOP" Kyoto, Japan

2013 "Young Portfolio of 2013" Kiyosato Museum of Photographic Arts, Yamanashi, Japan

"Mt.Rokko International Photo Festival 2013" Hyogo, Japan

"Colorful Guizhou" Guizhou, China

"Koyasan Cafe" Tokyo, Japan

"SERENITY Japanese Photography Exhibition" Tokyo, Japan

"Happy Maker in Koyasan in 2013" Wakayama, Japan

"Photo City Sagamihara 2012" Tokyo, Japan

2012 "Sagamihara Photo City Ward Winners Exhibition, Kanagawa, Japan

"BursaPhotoFest 2012" Bursa, Turkey

"8th Angkor Wat Photo Festival, Cambodia

2011 "Happy Maker in Koyasan in 2011" Wakayama, Japan

"Young Portfolio of 2011" Kiyosato Museum of Photographic Arts, Yamanashi, Japan

2010 "Young Portfolio of 2010" Kiyosato Museum of Photographic Arts, Yamanashi, Japan

2009 "Happy Maker in Koyasan in 2009" Wakayama, Japan

2008 "China Pingyao international Photography Festival" Pingyao, China

2007 "Young Portfolio of 2006" Kiyosato Museum of Photographic Arts, Yamanashi, Japan


Public Collections

Emon Photo Gallery (2013, 2012, 2008)

Bibliothéque National de France (2006)

Kiyosato Museum of Photographic Arts (2013, 2010, 2009, 2006)







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古賀絵里子 関連書籍


古賀絵里子 『一山』

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古賀絵里子 『TRYADHVAN』

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